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~その日の夜~
「ねぇロビンくん。レイくんってどうやって産まれたの?」
サイコロは部屋に来ているロビンにこう聞いている。
「どうやって産まれたって… まぁ、普通の産まれ方ではないだろうよ。俺もよく知らないけど。」
「ロビンくんはレイくんについてあまり知らないの?」
「所長しか詳しいことは知らないと思う。あの子は所長1人で産み出したものだから。」
謎が多いレイ。彼の正体は職員ですら知らないようだ。続けてサイコロはロビンにこう言った。
「今日ね、レイくんと庭園でゲームをしたんだ。スゴロクってゲーム。すごく楽しい時間だったんだけど…」
「だけど?」
「レイくん、注射のことを”遊ぶこと”だと言ってた。所長さん、レイくんにいつもなにをしているのかな?」
2人の間に静寂が生まれる。少し間を開けた後、ロビンがこう言う。
「まぁ、まともな親子関係ではないことは確かだと思うよ。レイくんは所長のことをおとうさんだと思ってるけど、所長からレイくんは”特別な実験体”としか思ってないはずだから。」
「そっか、なんだか哀しいね。レイくんも、所長も。」
サイコロはこう続ける。
「ところで、ロビンくんには子供はいるの?」
「いないよ。まだ結婚すらしたことないから。」
「そっか。ロビンくんはともかく、僕に結婚とか子供を作ることってできるのかな?」
「真面目に答えるなら、可能だよ。君には生殖機能が備わってるし、姿は違えど遺伝子はほぼ人間だからね。」
サイコロはこう尋ねる。
「僕のことを好きになってくれる人はいるかな?」
「それは…君次第じゃない?」
息詰まるような静寂が、部屋を包んだ。
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