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第二十六話「確定された肉の断面図」


🔪目に映る“自分の死”


路地裏、深夜2時。

湿ったアスファルトに一滴の血が、落ちる前の瞬間。


シオンの予知レンズには、

“死亡時刻:3:12

死因:頸動脈断裂

場所:現在位置”

――と、自分自身の死の詳細が表示されていた。


「……何これ。

冗談でしょ。」


その顔には、かすかな汗と、“削れた自尊心”が浮いていた。

黒と銀のスーツドレスは乱れ、

ポケットの注射器はすでに“殺人未遂”の数だけ空だった。




🔪スケアリーの実況「自己予知ステーキ」


「しょああああああああああ!!!!」

スケアリーが看板の上でクルクル回転しながら塩を撒いている。


「ついに!! ついにきたァァアアア!!!!!」

「自分が“肉”になる瞬間だよシオンちゃぁああん!!!!」


「予知で他人をさばいてきたこの子が、

**“今、自分の肉の断面”を初めて見てる!!」」


「うぅ……うまぁぁい……これはもう、

**“内臓の向こう側にある羞恥のタルタル”!!!!」」




🔪ユリウス、見届ける


ユリウスがビルの屋上からその光景を見下ろしていた。

表情は無。だが拳は固く握られていた。


「……やっと、“自分の肉の重さ”に気づいたな、シオン。」


「未来ばかり見てるやつは、**“今、自分が何キロあるのか”も知らないんだ。」




🔪シオンの動揺


「おかしい……私は生きてる。

なのに、“確定”されてる……?」


彼女はレンズを外し、地面に投げ捨てた。

だが――予知表示は、なお浮かび続ける。


(私は殺される。

じゃあ、“誰に”?

この予知……“他人じゃない”。)


――ズル。

足元に何かが落ちる。


それは、自分の血まみれの記憶だった。




🔪スケアリーの食レポ「断面図と対話するミートパイ」


「うへぇえっひひっ……!!!!」

スケアリーが血溜まりをペロリと舐める。


「この味は……この味は……

**“自分自身を初めて食った人間の味”だ!!!!!」」


「ほら見て、断面が震えてる……!

“肉”が! “神経”が! “思想”が!!!

全部、“冷製スライス”されてる!!!!」


「もう、自分を知らないまま殺人やってた過去が、

**全部“口の中に押し返されてる”の!!!!!」」




🔪ラスト:未来を壊す決意


シオンは立ち上がる。

顔は蒼白、だが瞳だけは燃えていた。


「壊す……

この予知。

未来じゃなくて、“今”を殺す。」


予知は黙って表示し続けていた。

だがそのレンズを、彼女はゆっくりと――踏み砕いた。





次回 → 第二十七話「破裂する未来のデミグラス」

スケアリーイズム - 完全犯罪のレシピ

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