🔪シオンの反転
スーツドレスの裾は破れ、
ヒールは片方折れたまま。
濡れた髪が頬に張り付き、目の奥だけが静かに燃えていた。
シオンは“予知レンズ”の破片を踏みしめて歩いていた。
もう未来は見えない。
だが、“いま目の前の他人”が、今はっきり見えていた。
「死ぬ予定があるかじゃない……
“この人が今、生きていていいか”だけで、決める――それでいい。」
🔪スケアリーの実況「感情直火デミグラス」
「ひょあああああああああ!!!!」
スケアリーがドラム缶の中で煮込まれながら絶叫する。
「これはねぇ……これは……!!
“予定”という冷凍保存を全部捨てた料理人の、
“感情で煮詰める熱々デミグラス”だよおおお!!!!!」
「うわあああ、鍋に入ってる素材が“未来”じゃないの!
“選択の後悔”と“今の殺意”だけで煮込んでるの!!!!」
「ウッマ!!! コクしかねぇ!!!!」
🔪新たなターゲット
男、30代。
子どもを連れてコンビニを出る。
予知では――“生き残る側”。
だが今、シオンは“息を吸うその音”に苛立ちを覚えていた。
(この人、次の殺人者になる。
じゃあ、ここで止めれば……いいだけ。)
シオンの手には再び注射器。
中身は、自分で調合した即効性の麻痺液。
「“まだ犯してない罪”を、今裁く。
その未来を潰すことで、現実が正しくなる。」
🔪ユリウスの介入
「それは、もう……
“予知殺人”じゃない。
“神殺し”だ、シオン。」
ユリウスの声が響く。
彼のコートは雨で濡れ、瞳には怒りよりも、哀しみが浮かんでいた。
「誰にも未来は見えない。
だからこそ、裁く資格なんて、誰にもない。」
「お前は今、“料理人”じゃない。
ただ“焚き火で肉を燃やしてる”だけだ。」
🔪スケアリーの食レポ「神の皿、禁断のテーブル」
「んぐぐぐぐぐぅうううう!!!!!」
スケアリーが口いっぱいに煮詰まった血のスープを含んで、吐きそうになってる。
「これは……濃すぎる……
でも!!! 食べたい!!!!
食っちゃいけないって分かってるのに!!!!」
「“未来を殺す”って料理はね、
“味のない世界に唐辛子だけぶち込む”ってことだよォ!!!!」
「後味が痛ぇ……でも、やめられねぇ……!!」
🔪シオンの決断
「それでも……私は止まれない。
止まったら、また“未来に支配される”。」
「今だけを信じて、選んで、殺す。
その全責任を、私が引き受ける。」
ユリウスが、苦く呟く。
「……なら、次にお前が狙うのは――
“自分自身”だぞ、シオン。」
次回 → 第二十八話「焦げた選択と最後のソース」
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