第二十八話「焦げた選択と最後のソース」
🔪シオンの終幕
廃工場の屋上。
夜明け前。
肌は青白く、血の気が引いた唇は“殺意と自己否定”を押し込んだように結ばれていた。
シオンは座っていた。
注射器を両手に抱え、
足元には割れた予知レンズの残骸が散らばっていた。
スーツドレスはボロボロ。
それでも、目はどこか晴れたように見える。
「結局……私はずっと、“誰かの未来”ばかりにすがってたんだね。」
🔪スケアリーの実況「焼け焦げソースの自己裁き」
「ヒャッ……ヒャハァァアアア!!!!」
スケアリーが床に寝転がりながら自分の頭にソースをかけている。
「これだよ……これッッッ!!!
“自分が食材になるラスト一皿”!!!!」
「注射器は**“自家製のソースポンプ”!!**
自分で自分の血を抜き取り、
**“罪の味”を抽出するっていう、究極のスープベース!!!!」
「焦げてる!! 焦げてるよシオン!!!
君の選択、火を止め損ねたビーフシチューみたいに、もう真っ黒だよ!!!!」
「うま……まず……うま……まず……!!!!」
🔪ユリウス、隣に座る
「殺しても、正しくはならなかったか。」
ユリウスが隣に腰を下ろす。
顔を伏せたまま、静かに問う。
「……うん。
何人かは、“未来に悪人になる予定”だった。
でも、そうじゃなかった人もいた。」
「でも……もう、誰の未来も見えない。
自分のも、他人のも。」
「ねえユリウス。
私、今――“どうなってる”?」
🔪ユリウスの答え
「お前は今、
“まだ生きてる”。」
それだけを言い残し、立ち上がる。
そして――振り返らずに、歩き去る。
🔪スケアリーの食レポ「焼け残りの肉片、未完成のソース」
「やばい……泣ける……泣けて味がわかんねぇ……ッ!!!」
スケアリーがすすり泣きながら、注射器を咥えるフリをしている。
「この味……“殺したくないのに、殺した自分”を飲み込もうとする味……!!!!」
「苦い……けど、あったかい……」
「火加減がズレたまま、皿の上で震えてる肉の味なんだよォ……!!!」
「これが……
これこそが、“スケアリーイズム”の……」
小さく、目を閉じて、にやりと笑う。
「……焦げ目。最高。」
🔪ラスト:静かに燃える注射器
朝日が差す屋上。
注射器の中のソースは、もう温もりを失っていた。
だが、
そのソースの色だけが、
“生きていた記憶”のように――赤かった。
次回 → 第二十九話「分解の悦び、痛覚のコンポート」