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スケアリーイズム - 完全犯罪のレシピ

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スケアリーイズム - 完全犯罪のレシピ

29 - 第二十九話「分解の悦び、痛覚のコンポート」

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2025年04月03日

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第二十九話「分解の悦び、痛覚のコンポート」


🔪登場:リヒト


古いアパートの一室。

四畳半。

壁には金属器具、解体用の刃物、縫合針、ガーゼ、麻酔剤。


その中央に座るのは――

リヒト・フラム。

20代前半。

真っ白な手術着に、片腕だけ包帯でぐるぐる巻き。


髪は濡れたように黒く、瞳は常に焦点が合っていない。

まるで“自分の肉体を内側から見ている”ような視線。


「ねえ、見て。

今日の“左手の筋肉”、すごく美しかったんだ。」


そう言って、机の上に置かれたのは、

自ら切り取った“赤い筋肉”をシロップ漬けにしたガラス瓶だった。




🔪スケアリーの実況「自己分解コンポート」


「ぬぉっはあああああああ!!!!!」

スケアリーがガラス瓶に顔を突っ込みながら絶叫。


「やべぇッッッ!!!!

出た出た出たッ!!!

**“自分の身体が一番の素材”ってやつ!!!!」」


「コレはもう“解体料理”じゃない!!

**“自己愛による内臓の煮込み芸術”!!!!」」


「甘く漬けてるのが最高だよね!!!

だって苦痛を“デザート”に昇華してんのよ!!!!」




🔪リヒトの儀式


「“痛み”ってさ、“料理されてる”って証拠なんだよね。」


彼は鏡の前でシャツを脱ぐ。

肋骨の下にある、小さな“切除痕”。


そこから器用にピンセットを差し込み、

脂肪の断片を摘まんで取り出す。


「この部分は甘みが足りないから、

もう一度コンポートし直すね。」




🔪ユリウスの反応


ユリウスは廊下越しに見つめていた。


「こいつ……

“快楽”と“構造美”だけで自分を解体してる……」


「他人を殺さない代わりに、

**自分を“理想のレシピ”にしてるんだ……!」




🔪スケアリーの食レポ「痛覚煮込みのガトー仕立て」


「っしゃああああ!!!」

スケアリーが赤いシロップをすくって舐める。


「これは痛い!! 甘い!! 脂っこい!!!

でも美しい!!! 完成してないのに、完成されてる!!!!」


「彼の料理はまだ焼けてないのに、

**“自分で食べながら完成させる生ガトーショコラ”!!!!」


「リヒト、お前は……

**“食材であり、料理人であり、皿”なんだよォォ!!!!!」




🔪リヒトの独白


彼は小さな声で呟いた。


「“死”ってさ、完成の瞬間だと思うんだよね。

でも僕は、完成したくないの。」


「だから、今日も切る。

削る。味わう。

永遠に未完成で、ぐちゃぐちゃで、

でも甘い肉になるために――」





次回 → 第三十話「焼成される魂のレシピ」

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