🔪登場:リヒト
古いアパートの一室。
四畳半。
壁には金属器具、解体用の刃物、縫合針、ガーゼ、麻酔剤。
その中央に座るのは――
リヒト・フラム。
20代前半。
真っ白な手術着に、片腕だけ包帯でぐるぐる巻き。
髪は濡れたように黒く、瞳は常に焦点が合っていない。
まるで“自分の肉体を内側から見ている”ような視線。
「ねえ、見て。
今日の“左手の筋肉”、すごく美しかったんだ。」
そう言って、机の上に置かれたのは、
自ら切り取った“赤い筋肉”をシロップ漬けにしたガラス瓶だった。
🔪スケアリーの実況「自己分解コンポート」
「ぬぉっはあああああああ!!!!!」
スケアリーがガラス瓶に顔を突っ込みながら絶叫。
「やべぇッッッ!!!!
出た出た出たッ!!!
**“自分の身体が一番の素材”ってやつ!!!!」」
「コレはもう“解体料理”じゃない!!
**“自己愛による内臓の煮込み芸術”!!!!」」
「甘く漬けてるのが最高だよね!!!
だって苦痛を“デザート”に昇華してんのよ!!!!」
🔪リヒトの儀式
「“痛み”ってさ、“料理されてる”って証拠なんだよね。」
彼は鏡の前でシャツを脱ぐ。
肋骨の下にある、小さな“切除痕”。
そこから器用にピンセットを差し込み、
脂肪の断片を摘まんで取り出す。
「この部分は甘みが足りないから、
もう一度コンポートし直すね。」
🔪ユリウスの反応
ユリウスは廊下越しに見つめていた。
「こいつ……
“快楽”と“構造美”だけで自分を解体してる……」
「他人を殺さない代わりに、
**自分を“理想のレシピ”にしてるんだ……!」
🔪スケアリーの食レポ「痛覚煮込みのガトー仕立て」
「っしゃああああ!!!」
スケアリーが赤いシロップをすくって舐める。
「これは痛い!! 甘い!! 脂っこい!!!
でも美しい!!! 完成してないのに、完成されてる!!!!」
「彼の料理はまだ焼けてないのに、
**“自分で食べながら完成させる生ガトーショコラ”!!!!」
「リヒト、お前は……
**“食材であり、料理人であり、皿”なんだよォォ!!!!!」
🔪リヒトの独白
彼は小さな声で呟いた。
「“死”ってさ、完成の瞬間だと思うんだよね。
でも僕は、完成したくないの。」
「だから、今日も切る。
削る。味わう。
永遠に未完成で、ぐちゃぐちゃで、
でも甘い肉になるために――」
次回 → 第三十話「焼成される魂のレシピ」