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こちらの茨さん👈🥀3️⃣
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ゑぬ。
1,160
#オリキャラ
柊威 零
137
第3話 大山クライム
登場人物
遠野カケル
十八歳のピークランナー。
短く切った茶色の髪は少し跳ねており、黄緑の競技ジャケットと灰色の競技パンツを着用している。
細身ながら脚は引き締まり、腰には補給水と緊急発信器を装着。
胸のゼッケンは九番。
桐谷ソウマ
二十歳のピークランナー。
短い灰色の髪を立たせ、黄色の競技ジャケットを着ている。
カケルより少し背が高く、肩や脚がしっかり鍛えられている。
胸のゼッケンは四番。
久瀬リョウ
二十六歳の人気ピークランナー。
灰色の短髪に鋭い目つき。
紫の競技ウェアと薄手の登山グローブを身につけている。
無駄なく鍛えられた体格で、胸のゼッケンは二番。
牧原セナ
二十二歳のピークランナー。
茶色の髪を短いポニーテールにまとめ、緑とベージュを組み合わせた競技ウェアを着ている。
小柄で身軽な体格。
胸のゼッケンは七番。
峰岸タクト
三十四歳の実況担当。
柔らかく整えた茶色の髪に緑の中継ジャケットを着ている。
細いフレームの眼鏡をかけ、実況席に並ぶ中継画面と気象情報を交互に見つめている。
春木ミナ
三十二歳の解説担当で、元ピークランナー。
肩まで伸びた灰色がかった髪を後ろで束ね、ベージュのジャケットを着ている。
穏やかな目元をしているが、天候が崩れると画面を見る表情が一気に鋭くなる。
◆
午前七時二十分。
大山の麓には、薄い雲が広がっていた。
風は弱い。
木々の葉も、ほとんど動いていない。
カケルはスタート地点の端で片脚を上げ、靴底を見た。
泥用の溝。
指で触れる。
まだ乾いている。
「雨、降るかな」
隣でソウマが山頂を見上げた。
黄色の競技ジャケットの襟が、わずかな風で揺れる。
「降らないんじゃない?」
「天気予報は?」
「降水確率三十パーセント」
「微妙」
「雨を気にするより、俺を気にしたら?」
カケルが顔を上げる。
ソウマは四番のゼッケンを指で叩いた。
「筑波、六センチ」
「覚えてる」
「今日は十センチにする」
「増え方が地味」
「じゃあ一メートル」
「急に増えた」
二人の横をセナが通る。
「朝から仲良いね」
「違う」
二人の声が重なった。
セナが笑いながら七番のスタート位置へ向かう。
少し離れた場所では久瀬が黙って山頂を見ていた。
空を確認する。
腕を伸ばす。
風を確かめるように手のひらを返した。
頭上を中継機が通過する。
大型画面が点灯した。
出場者の名前とオッズが並ぶ。
二番 久瀬リョウ 3.1倍。
四番 桐谷ソウマ 4.5倍。
九番 遠野カケル 5.8倍。
七番 牧原セナ 8.7倍。
さあ、第三戦!
本日は大山クライムです!
観客席から歓声が上がる。
高尾クライム優勝、筑波クライム二着!
九番、遠野カケルは現在三番人気!
デビュー時の五十一倍台が懐かしく感じます!
カケルが大型画面を見る。
5.8。
数字が5.6へ変わる。
「また下がった」
高尾で買っておけばよかったと思っている方、多いでしょう!
実況席から笑い声が漏れる。
しかし!
本日の最大の相手は、ピークランナーだけではありません!
大型画面が切り替わる。
大山の上空。
雲。
風向。
降水予測。
現在の山頂付近の気温は低め!
そして午後へ向けて天候が崩れる予報が出ています!
競技時間中に雨が降る可能性もあります!
カケルが空を見る。
まだ明るい。
雨粒はない。
大山クライムは前半に舗装区間、中盤から森林路、終盤には急な登山道が続きます!
晴れていれば高速型が強い!
しかし雨が降れば話は別!
路面状況によって、モビリティの有利不利が大きく変わります!
大型画面に機体が映る。
細いタイヤ。
太いタイヤ。
四輪。
軽量型。
雨が降る前に高速機で距離を稼ぐか!
最初から悪路型を選ぶか!
それとも徒歩を増やすか!
天候を読む力も、登峰競走では重要です!
カケルが第一ステーションを見る。
筑波で覚えた。
機体だけを見るな。
その先を見る。
今日はさらに。
上も見る。
空。
雲。
風。
ソウマが横から覗き込む。
「何見てる?」
「雲」
「走るのは地面だよ」
「今日は上も大事らしい」
「実況に影響されすぎ」
スタート装置が点灯する。
五。
二十八人が姿勢を低くする。
四。
久瀬が前を見る。
三。
セナが息を吐く。
二。
ソウマが笑みを消す。
一。
号砲。
大山クライム、スタート!
一斉に飛び出す。
靴音が舗装路へ広がった。
カケルは序盤から前へ出た。
九位。
七位。
五位。
ソウマがすぐ横にいる。
「今日はついてくる?」
「そっちがね」
第一モビリティステーション!
ここは高速型が大量に配置されています!
選手たちが散る。
久瀬は二輪高速型。
ソウマも高速型。
セナは四輪。
カケルが機体を見る。
細いタイヤ。
軽量。
速そうだ。
空を見る。
雲はまだ遠い。
高速型へ飛び乗った。
九番も高速型!
序盤で距離を稼ぐ作戦です!
モーター音が重なる。
カケルが加速する。
身体が後ろへ引かれ、すぐ前傾。
四位。
三位。
ソウマへ並ぶ。
「今日は分かってるじゃん」
「筑波で覚えた」
「俺のおかげ?」
「負けたおかげ」
「同じだろ」
二人がさらに加速する。
前には久瀬。
二番、四番、九番!
三人が前へ出ました!
舗装路を高速機が駆ける!
晴れている今なら、これが最速です!
風が顔へ当たる。
カケルの髪が揺れる。
大型画面の速度表示が上がる。
先頭、久瀬。
二位、ソウマ。
三位、カケル。
差はほとんどない。
第一中間地点通過!
まだ雨はありません!
カケルが空を見る。
さっきより暗い。
木々の向こう。
山頂付近が霞んでいる。
第二ステーションが見えた。
ここから森林路!
久瀬が高速型を捨てる。
太いタイヤの悪路型へ。
ソウマも同じ。
カケルは一瞬迷う。
筑波なら同じものを選んでいた。
今日は違う。
森林路の地面を見る。
乾いている。
まだいける。
高速型を乗り捨てない。
九番、そのまま行く!
高速型を継続!
これは勝負に出ました!
乾いているうちに森林路を抜けるつもりでしょう!
カケルが前へ出る。
久瀬とソウマは乗り換えで数秒を使った。
一位。
九番、遠野カケル!
本日初めて先頭!
細いタイヤが土を蹴る。
少し滑る。
まだ走れる。
カケルは速度を落とさない。
後ろからソウマが追う。
「無茶するな!」
声が聞こえる。
カケルは振り返らない。
森林路を曲がる。
先頭。
さらに前。
そのとき。
ポツ。
競技ジャケットの袖に何かが当たった。
カケルが見る。
小さな水滴。
もう一つ。
ポツ。
ポツ。
来ました!
雨です!
予報より早い!
観客席がざわめく。
大型画面の気象表示が変わる。
降水域が山へ重なる。
カケルがアクセルを少し戻す。
地面へ小さな点が増える。
十秒。
二十秒。
雨音がはっきりする。
葉が揺れる。
土の色が変わっていく。
九番、これは厳しい!
高速型の細いタイヤ!
濡れた森林路とは相性がよくありません!
カケルの機体が横へ滑った。
「うわっ!」
足を地面へ。
立て直す。
速度が落ちる。
後ろからソウマ。
太いタイヤの悪路型。
安定している。
横へ並ぶ。
「だから言っただろ!」
「雨早すぎ!」
「山に言え!」
ソウマが抜く。
久瀬も来る。
二人に抜かれた。
三位。
さらに後ろからセナ。
四輪型。
水を跳ね上げながら近づく。
七番も来た!
雨で順位が動きます!
カケルの機体がまた滑る。
ブレーキ。
止まる。
飛び降りる。
乗り捨て!
九番、ここで徒歩へ切り替えます!
カケルが走る。
泥が靴へ跳ねる。
セナの四輪型が横を通過。
「先行くね!」
「すぐ追う!」
四位へ後退。
雨が強くなる。
視界が薄くなる。
木々から水滴が落ちる。
カケルの髪が額へ張り付いた。
足元。
土。
根。
石。
一歩ずつ確かめる。
前方ではモビリティが次々と減速していた。
滑る。
曲がれない。
一台が道の端で止まる。
選手が飛び降りる。
ここから面白くなります!
モビリティの速度が落ちています!
徒歩組との差が縮まる!
カケルが一人抜く。
さらに一人。
前を行く選手が機体を押している。
その横を走る。
五位。
四位。
雨の日は必ずしも乗る方が速いわけではありません!
濡れた地面では、機体を制御するために速度を落とす必要があります!
カケルが木の根を踏む。
滑る。
腕を伸ばす。
幹をつかむ。
止まらない。
その勢いのまま前へ。
第三ステーション。
機体が並んでいる。
雨粒が座席を叩く。
悪路型。
四輪。
大型。
カケルは近づく。
手を伸ばす。
止める。
そのまま通過。
九番、乗らない!
完全に徒歩を選びました!
この先は急な森林登山道!
今の路面なら十分あり得る判断です!
カケルが走る。
前方にセナ。
四輪型が泥へ沈んでいる。
タイヤが回る。
泥だけが飛ぶ。
セナがアクセルを戻す。
もう一度。
動かない。
カケルが横へ来る。
セナと目が合う。
「これ、ダメ!」
セナが飛び降りた。
二人で走る。
「四輪でも?」
「泥が深い!」
「ソウマは?」
「前!」
二人が急坂へ。
セナが軽い足取りで先へ。
カケルが追う。
三位争い!
しかし先頭二人との差も縮まっています!
画面にはソウマ。
黄色の悪路型。
その前に久瀬。
二人とも速度が落ちている。
雨脚がさらに強くなった。
道の中央を水が流れ始める。
小さな川のようになる。
久瀬が機体を捨てた。
ソウマも数秒遅れて降りる。
ついに先頭二人も徒歩!
全員、自分の脚です!
カケルが笑う。
セナが横を見る。
「楽しそう」
「追いつける」
「私もいるけど?」
セナが一歩前へ出る。
カケルも速度を上げる。
雨音。
靴音。
呼吸。
それだけが山道へ響く。
第四中間地点!
先頭、二番久瀬!
二位、四番桐谷!
三位、七番牧原!
四位、九番遠野!
四人の差は二十秒以内!
カケルが坂を登る。
泥が脚へ付く。
重い。
息を吐く。
ソウマの背中が見えた。
さらに久瀬。
距離が縮む。
そのとき。
雨音が弱くなった。
カケルが顔を上げる。
葉を叩く音が減る。
雲の向こうが少し明るい。
実況席の気象画面が動く。
おっと!
雨雲が急速に抜けています!
局地的な雨でした!
この後、雨は弱まる予測です!
ソウマが振り返る。
カケルも空を見る。
「今度は止むのかよ!」
ソウマが叫ぶ。
カケルが笑った。
「山に言え!」
雨が細くなる。
やがて。
止まった。
水滴だけが木々から落ち続ける。
路面は濡れている。
だが少しずつ水が引いていく。
残り三キロ!
ここから再びモビリティを使う選手が出るでしょう!
第五ステーション。
先頭の久瀬が入る。
四輪悪路型へ。
ソウマも機体を見る。
カケルとセナが追いつく。
四人がほぼ同時にステーションへ入った。
並ぶ機体。
高速型。
悪路型。
軽量型。
大型。
カケルが地面を見る。
まだ濡れている。
でも。
この先には舗装区間。
大型画面のコース表示が頭に残っている。
久瀬は悪路型。
セナも悪路型。
ソウマは。
高速型。
カケルも高速型へ走った。
四番と九番、高速型!
路面が乾くと読んだか!
二人が同時に発進。
ソウマが横を見る。
「真似?」
「同じこと考えただけ!」
濡れた道。
二人とも慎重に走る。
速度は上げない。
久瀬の悪路型が先行する。
差が開く。
セナも続く。
カケルは我慢する。
まだ。
まだ。
木々が途切れる。
舗装路。
路面には水が残っているが、泥はない。
ソウマがアクセルを入れた。
カケルも同時。
二台が加速する。
一気にセナへ迫る。
七番を抜いた!
三位、四番!
四位、九番!
さらに久瀬へ!
久瀬の悪路型は安定しているが速度が出ない。
ソウマが右。
カケルが左。
二人同時に抜く。
四番と九番が先頭争い!
久瀬が後ろを見る。
すぐ機体を乗り捨てた。
走って追う。
残り二キロ!
カケルとソウマが並ぶ。
筑波の続きだ。
黄色の機体。
その横にカケル。
速度はほぼ同じ。
ソウマが前へ半台。
カケルが追いつく。
道が曲がる。
二人とも減速。
接触しない。
ぎりぎり。
そして最終ステーション!
ここから山頂まで急登!
カケルが機体を捨てる。
ソウマも捨てた。
同時。
また同じ!
二人とも最後は脚を選びました!
走る。
階段。
濡れた石。
カケルの靴が滑る。
体勢を戻す。
ソウマが二歩前。
カケルが追う。
後方。
久瀬も迫る。
残り一キロ!
先頭、四番!
二位、九番!
三位、二番!
セナも少し後ろ!
ソウマが振り返る。
「六センチ!」
「まだ言う?」
「今日は一メートル!」
「無理!」
カケルが並ぶ。
二人の肩が揃う。
階段を登る。
ソウマが一段飛ばし。
カケルも。
息が切れる。
脚が重い。
水を吸った競技ウェアが身体へ張り付く。
残り七百。
山頂付近に霧が流れ込む。
視界が狭くなる。
白っぽい霧ではなく、灰色の幕のように景色を覆っていく。
霧が出ました!
最後まで天候が動く!
カケルがソウマの姿を見失いかける。
足音を聞く。
前。
近い。
追う。
道が二つに分かれる。
表示。
右。
左。
ソウマが右。
カケルも右へ行きかける。
足を止める。
左を見る。
狭い。
急。
でも短い。
カケルは左へ。
九番、分かれた!
短縮登山路です!
雨で滑りやすい!
カケルが岩をつかむ。
一段。
足を置く。
滑る。
膝をつく。
立つ。
ソウマの姿は見えない。
実況だけが山へ響く。
四番は通常路!
九番は短縮路!
どちらが先に合流する!
カケルが木の根をつかむ。
身体を引く。
息を吐く。
もう一段。
霧の向こうに人影。
合流地点。
ソウマが出てくる。
同時。
二人の目が合う。
「また?」
「また」
残り三百メートル!
完全に並びました!
後方から久瀬も来る!
三人の勝負です!
久瀬の足音。
近い。
カケルが振り返る。
十メートルもない。
ソウマも見る。
三人が山頂へ。
残り二百。
観客の声。
霧の向こうにゴール設備。
カケルが前。
ソウマが並ぶ。
久瀬も来る。
三人!
残り百!
久瀬が加速する。
ベテランの脚。
一歩前。
ソウマが追う。
カケルも。
久瀬。
ソウマ。
カケル。
順位が変わる。
残り五十!
カケルがソウマへ並ぶ。
久瀬との差は一歩。
三十!
ソウマが久瀬へ並ぶ。
二十!
カケルも並ぶ。
三人横一列!
十!
観客が立ち上がる。
五!
カケルが身体を前へ。
ソウマも。
久瀬も。
三人がゴールへ飛び込んだ。
装置が反応する。
花火が上がった。
霧の中で音だけが大きく響く。
三人とも地面へ倒れた。
これは!
写真判定!
しかも三人です!
カケルがうつ伏せのまま息を吐く。
隣にソウマ。
さらに向こうに久瀬。
「また……写真……」
ソウマが途切れ途切れに言う。
カケルが顔だけ横へ向ける。
「三回目」
久瀬が笑った。
「君たち、毎回こんなことしてるのか」
「カケルが離れない」
「ソウマが離れない」
「どっちでもいい」
三人とも動かない。
大型画面へゴール映像が表示される。
霧。
三人。
ゴール線。
拡大。
さらに拡大。
観客席が静かになる。
カケルが身体を起こす。
ソウマも。
久瀬は座ったまま画面を見る。
判定表示。
三位。
二番。
久瀬リョウ。
二位。
四番。
桐谷ソウマ。
ソウマの眉が動く。
そして。
一位。
九番。
遠野カケル。
判定!
一着、九番!
遠野カケル!
二着、四番、桐谷ソウマ!
三着、二番、久瀬リョウ!
カケルが目を見開く。
ソウマが大型画面を見る。
差。
一着と二着。
三センチ。
「三センチ!」
ソウマが叫んだ。
カケルが笑う。
「六センチ返した」
「半分だけだろ!」
「勝ちは勝ち」
「それ俺が前回言った!」
花火がもう一度上がる。
カケルが立ち上がる。
脚が震える。
久瀬が先に手を出した。
カケルがつかむ。
引き起こされる。
ソウマも立つ。
確定順位です!
一着、九番、遠野カケル!
二着、四番、桐谷ソウマ!
三着、二番、久瀬リョウ!
四着、七番、牧原セナ!
セナが少し遅れてゴールへ入り、両膝に手をついた。
「また三人だけで遊んでる……」
「遊んでない」
カケルが答える。
「こっちは途中で泥にはまったんだから」
「俺も滑った」
「私は機体ごと埋まった」
大型画面が切り替わる。
そして払戻金です!
単勝 9番 560円
複勝 9番 190円
複勝 4番 170円
複勝 2番 140円
二人順位・順不同 4-9 1,120円
二人順位・着順指定 9→4 2,380円
三人順位・順不同 2-4-9 1,960円
三人順位・着順指定 9→4→2 7,840円
三人順位の着順指定!
九番、四番、二番!
百円分の投票に対し、払戻金は七千八百四十円です!
山麓から歓声が届く。
カケルは濡れた髪を手で払う。
競技ジャケットから水が落ちる。
足元は泥だらけ。
遠野カケル、今季二勝目!
しかし今日の勝因は、単純な速さではありません!
大型画面にレース中の映像が流れる。
序盤。
高速型で先頭へ。
雨。
滑る機体。
乗り捨て。
徒歩。
雨が止む。
再び高速型。
最後は急登を自分の脚で。
晴れている間は乗る!
雨が来たら降りる!
路面が変われば、また乗る!
大山クライムは、モビリティと徒歩をどう切り替えるか!
その判断が勝敗を分けました!
カケルが映像を見る。
最初の判断は外した。
雨が早く来た。
滑った。
抜かれた。
それでも降りた。
走った。
また乗った。
最後は自分の脚。
ソウマが隣へ来る。
「次は絶対一メートル」
「まだ言ってる」
「今日三センチ負けたから、次は一メートル三センチ」
「なんで足すの?」
「借りだから」
「知らない」
セナが二人の間から顔を出す。
「そのうち百メートルとか言い出しそう」
久瀬が後ろから歩いてくる。
「その前に私が二人まとめて離す」
二人が振り返る。
久瀬は笑っていた。
「次、私も混ぜてもらおうか」
ソウマが拳を握る。
「望むところ」
カケルも笑う。
表彰エリアへ向かう。
霧が少しずつ流れていく。
さっきまで隠れていた山の景色が戻ってくる。
濡れた木々。
道。
乗り捨てられたモビリティ。
その向こうに街。
山頂の大型表示が切り替わった。
次回。
六甲クライム。
カケルが足を止める。
ソウマも見る。
久瀬も。
セナがその横へ並ぶ。
次回は六甲クライム!
街のすぐそばで行われる人気大会です!
道路!
登山道!
急坂!
短い区間で地形が次々と変わる、乗り換え勝負!
カケルが画面を見る。
今日とは違う。
雨ではない。
次は乗り換え。
筑波でスポンサーを知った。
大山で天候を知った。
次は。
どれだけ乗るか。
どれだけ乗らないか。
ソウマが先に歩き出す。
「次は迷うなよ」
カケルも続く。
「そっちこそ」
表彰台の中央へカケルが立つ。
二位にソウマ。
三位に久瀬。
濡れた山頂へ、もう一度花火が上がった。
大山クライム!
変わり続ける天候を制したのは九番、遠野カケル!
山では、さっきまでの正解が次の瞬間には間違いになる!
乗るか!
降りるか!
走るか!
その判断を積み重ねた先にあるのは、たった一つ!
山頂です!
カケルが片手を上げる。
歓声が返ってくる。
雲の切れ間から光が差し、濡れた山道がきらりと光った。
次の山は、もう待っている。
コメント
1件
みぅです🖤🥀 大山クライム、めちゃくちゃ熱かったです…! 雨の判断、乗り換えのタイミング、最後の三人横一列のゴール、全部が一気に押し寄せてきて、画面の前で息止めてました。 カケルとソウマの「借り」の掛け合いも好きだし、久瀬さんが混ざろうとしてくるところで「あ、この競技ってちゃんと人と人の物語なんだ」ってじんわりしました。 次の六甲、楽しみにしてますね🌙