水面に魔法で立っているジュンパクはオクトクラーケンを見る。
オクトクラーケン。
全長はおよそ25メートルにも達し、その威圧的な姿は海中でも目立つ。
大きな三角形の頭には、ギョロギョロとした目が四つ据えられていて、その鋭い眼差しに睨まれれば恐怖してしまい、気が付けば自分の本体と同じくらいの太さの足に絡め取られ食べられてしまうだろう。
「まずはミーに夢中になってもらうよ?『チャーム』」
『チャーム』は、ミクラル王国に伝わる中級魔法の一つだ。この魔法は、相手が異性である場合にのみ反応する特性を持っている。
生まれつき、ジュンパクはこの魔法との相性が非常に良く、その稀な性質は異性に対する適応性に優れていて“どちらに対しても効果を発揮出来る”
オクトクラーケンは一度海底の底に潜り、そして__
「おっと!【プラスフィジカルアビリティ】!」
立っていた箇所の水面が大きな水しぶきを上げ、オクトクラーケンの2本の長い足が海底からジュンパクを捕らえようと出てきた!
目の前の小さな目標に向かってしたその行動はチャームが成功したと言う事にもなる。
「その触手でミーをどうする気だったのかなぁ?いやーん……てめーの触手一本一本焼いて喰ってやるよ」
触手がジュンパクを捉えようと伸ばしてくるがスケートリンクの様に水面を滑り綺麗に避けていくのに加え、ジュンパクは持っていた鎖鎌の鎖を触覚に絡ませていく。
「めっっっちゃ痛いよ?せーのっ!」
絡まった鎖が掛け声と共に斬り刻んで行く____
「ーーーーー!!!?!?!」
鎖鎌がジュンパクの手に戻って来たときにはオクトクラーケンの触手はボロボロになっていた。
「ミーの鎖に掴まったら最後、もうそこは鎌が通る未来の線だからね、ってこんなことモンスターに言っても解らないか」
オクトクラーケンは捕まえるのをやめて次は鞭のように触手を振りだした。
「あーあ、もう、そんなに考えなしに振ったらめんどくさいなぁ」
そう言いながらも華麗に避ける姿は一つの絵の様だ。
攻撃が当たらないのが悔しいのかオクトクラーケンが怒ってる様にも見える。
「さて、もう一回、そりゃ」
また触手に鎖を絡ませるがオクトクラーケンは2度目は通じないとばかりに鎖をひっぱりジュンパクを宙にあげた。
「わわ!力強いね!」
ジュンパクは鎖の回収をやめて宙返りしながらオクトクラーケンの真後ろに着地しそのまま周りをぐるぐると走り出した。
オクトクラーケンの身体はみるみるうちに鎖が複雑に混ざり合って行く……
「この鎖は特別製でね、絡まったり縛ったらどんな状態でも抜け出せない魔法をかけてるんだよね」
ジュンパクは強化された脚力で船に飛び乗り戻ってきた。
「ヤローども!準備は出来たな?敵は動かねー様にしてあげたから絶体にはずすんじゃねぇぞ!撃て!」
船から掛け声とともに勢いよく放たれた青い火が、オクトクラーケンに直撃した!その瞬間、海面が輝き、炎の舞い散る様子が壮観に広がる中、怪物は悲鳴を上げ、その巨大な体が激しく揺れ動く。
「焼きオクトだ!ハッハッハッハ」
オクトクラーケンは焼かれても尚、もがいていて絶命していないみたいだ。
「しつこいのは嫌われちゃうよー?ミーはしつこいけどね?第二、撃て!」
船から放たれたイナズマが、オクトクラーケンに向かって猛烈な勢いで放たれた!
その光芒は闇を裂き、怪物の巨体に見事に命中し、眉間に穴を開けて貫通した!
「「「うおおおおおおおおお!」」」
オクトクラーケンが動かなくなり、その巨大な体が徐々に海へと沈んでいく様子を見て、海賊たちは喜びを爆発させ、船上に響く歓声が海の静寂を打ち破り、彼らの勝利の瞬間が船上に満ち溢れた!
「ミー達の勝利!ヤローども、今日はこいつを使ってパーティーと行こうぜ!」
ジュンパクは死体がまだ絡まっている鎖を船の後ろに固定してアテナ号を近くの島へ向かわせていった……
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