風雷山での戦いは勝利に終わった。
「いやー!本当様々っすね先輩!」
「本当に!ありがとうございます♪」
手もみゴマスリをすると、
「良い歳して恥ずかしくないの?本当」
と言われてしまった。
まあ、そんなことでへこたれる豆腐メンタルではない。
「なあ、良い機会だから聞かせてくれ。お前は弱いのか?強いのか?」
会うやつから弱い、雑魚などと言われているが、さっき見た限り強そうだ。
「えっとね、大手術で失った力を取り戻しつつあるのよ。みんなわすれていそうだけど、私小さい頃は大人3人、、、朝凪泉を超える力を持っていたのよ?。」
「朝凪泉?誰だそれ」
「「え」」
驚かれても知らないものは知らない。
「ふぅん、本当にこっちのこと知らないのね」
「朝凪泉は、奇界一番の大巫女様です。はるか昔にこの奇界を滅ぼすほどの力を持った巫女です」
「よくわからんけどこっわ、、、」
つまり、今のところ雪は奇界一強いと言っても過言ではないらしい。
「まぁ、別に私がどうでも良いんだけど、雲竜様はどうなったか知りたいわね。何にもないとはおもうけど。」
雲竜がいるのは山の頂、頂上だ。
「んじゃ、さっさと行って確かめようぜ」
「そんな簡単に言わないでよ、かまいたちが消えたのも気になるし、なんだか冬の気配だって、、、」
語尾を濁らせ鳥肌をさする雪は、意味がわからないとばかりに肩をすくめてみせた。
「冬の気配なんかしますか?確かに肌寒いような気がしますけど、夏の終わりなので秋の気配だと思いますけど、、、あれ?でもまだ1年も経ってないから、おかしい?」
頭を捻って考える凛。
「なにが一年だ、そろそろ秋なのは当たり前だろ?」
「いや、奇界は一季節3年なんですよ。だから、季節一周12年。長いですよね」
俺はいまきっと酷い間抜けズラだろう。でもそんなことはどうでもいい。だって、おかしいだろ?
「ひと季節三年、、、。じゃあ一年しか経ってないってすごくおかしく無いか?」
「そうね、もしかしたら、秋の精霊が少しおかしくなったのかしら、尋ねに行きたいわ」
「そっちの方が気になるわ、行こうぜ」
「秋の精霊ってどこにいるんだ?」
「えっと、、、ここら辺に秋紋があるから、、、」
解 秋紋とは秋の精霊の居場所に直接つながっているポータルのようなものである。
「あ、あった。私から手を離さないでね。」
「え、なんでだy」
雪が秋紋に触った瞬間、周りがぐにゃりと歪み、胃の中がひっくり返るような感覚に襲われた。
「もう着きましたよ」
「うっわ、奇界に来た時と同じような感じだな」
「あれも一種の紋様ですから」
周りを見渡すと、枯れかけた木の葉が垂れ下がる洞窟の入り口が目の前にあった。
「やっぱり少しおかしいわね、前に来た時は綺麗に色づいていたのに、、、」
「入ってみましょう」
垂れた木の葉を避け、真っ暗な洞窟内に入ると、少し肌寒く、冷たい風が奥から吹いていた。
「よく見えないわ、凛、照らして」
「了解です!」
火の玉がポンっと現れ、先を進み周りを照らす。その時だった。
「なっ、、、!」
秋の精霊と思わしき幼子が、氷漬けにされていた。
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