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朝日が昇り、《魔法目覚まし時計》がポワンポワンと可愛い音で俺を優しく起こしてくる。
「ん……朝かぁ……ふわぁ~」
身体を起こすと、サラサラと金髪ロングが肩を滑り落ちる。
……うん、完全に“女の子の朝”してるわ、俺。
最近、すっかりこの生活に慣れてきて、家の中では元の癖が全開。
現在の俺の寝巻きは、パンティーにブラジャーという黄金コンボ。
――何度でも言うけど俺、中身は男です。
「……やばいな俺、慣れって怖い……」
気を取り直してベッドから抜け出し、下着姿のまま洗面所で顔を洗う。
そのまま台所へ行き、魔法コンロの魔法陣に魔力を通す。
ボフッと音がして、火が灯る。魔法版IH。
……ところで、IHコンロのIHってなんの略なんだろう。
今さら聞けない疑問No.1だよねあれ。
イケてる火(Inferno Hot)?
異世界火力?
どっちにしろ火力マシマシ。ありがとう魔法文明。
「えーっと、フライパン置いてっと……油油……あ、『ゲマ油』あった。よし、次は『ユルナチョウ』の卵に、『ピルクドン』のベーコン……それと《白パン》っと」
フライパンに油を引いて、卵をトンッと割ると、
ジュゥゥ~~っと美味しそうな音が台所に響く。
仕上げに水をちょっと入れて、蓋をポン。
すると。
「ぬやぁ~……眠いのじゃ……朝ごはんなのじゃ……」
爆発したモップみたいな頭で、制服姿のルカがふらふらと登場。
寝ぼけすぎて一周回って新種の魔物みたいになってる。
「おはよう。……ってルカ、頭どうしたの!?何と戦ったの!?」
「夢の中で暴れ牛と相撲してたのじゃ……」
「寝癖で世界救えそうだよ……とりあえず髪なおして来て、焼けるまでに」
「めんどくさいのじゃ~……」
ボサァ……と髪をなびかせながら、スローな動きで洗面所へ向かっていくルカ。
その後ろ姿が一番魔法使いらしく見えた。
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「アオイちゃん、ルカさん、おはよーう!」
「うん! おはよー!」
「おはようなのじゃ~」
《なんでも箱》の依頼が始まってから数ヶ月――
《ストロングウーマン》のリーダーが言ってた通り、俺たちには何か“壁”があったらしい。
けど、その壁……仮にATフィールドと名付けるとして、それが依頼をこなすごとに少しずつ中和されていった。
今では――
「スヒマルさん、おはよう!」
「は、はい! おはようございます……!」
……彼女以外とはそれなりに話せるようになってる。
スヒマルさんはそう言うと、そっと机に顔を伏せて寝たフリを始めた。
……ねぇ、俺なんかした??
と、その時。
「はーい、みなさん、今日は授業の前に《体育祭》について話し合いましょう。クラス代表さん、よろしくお願いしますね」
「ひゃ、ひゃい! わゃかりました!」
……噛んだ……しかも盛大に噛んだ……!
なんでこうなるの……俺、噛みグセ治らないの……?
顔が真っ赤なまま、みんなの前に立ち、黒板の前へ。
「え、えと……では、先ほど先生が言っていた通り、《体育祭》についてですが……」
深呼吸! ゆっくり話せ! いける俺!
「まず、他のクラスの競技と……それから、僕たちが出した《騎馬戦》について、作戦会議をしたいと思います!」
そう。あれから何度か《クラス代表会議》が行われて、《体育祭》が近づいた今、
ようやく全クラスの競技が出揃ったのだ――!
「まず、競技なのですが、僕たち一年《アドベンチャー科》は《騎馬戦》。
そして、
一年《マジック科》は《我慢比べ》。
一年《ビジネス科》は《物運び》。
二年生たちは別枠で戦うようなので、僕たち一年はこの三種目で競い合うことになります」
黒板に、それぞれの項目が魔法によって綺麗に記される。
「では、まず僕たちが提案した《騎馬戦》から話し合いましょう」
クラス会議、開幕!