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腕を組み、侑から鋭利な眼差しを貫かれながらも、圭は、洗いざらい過去を打ち明けた。
婚約者がいながら、元恋人、井河千夏と並行して関係を持っていた事、美花との出会い、千夏が『ヨリを戻したい』と圭に連絡を入れてくる事。
千夏が美花に接触し、圭と別れろと言ってきた事も、羞恥に包まれつつ、侑に伝えた。
圭の話を、親友が厳しい表情を見せながらも、黙ったまま聞いている。
全てを話し終えた圭に、侑が、フーッと大きくため息をついた。
「…………こうして話を聞くと、葉山兄弟は、性格がまるで正反対だな。怜は女に一途だが、お前は根っからの遊び人……」
「よっ……余計なひと言だな……」
痛い所を突かれた圭は、侑からフイッと顔を背ける。
「…………だが、そんな女遊びばかりしていた圭が、初めて本気に好きになった女性が…………浦野さんなんだろ?」
「…………」
圭は、返事をする代わりに、俯きながら、前髪をぞんざいに掻き上げた。
再び、圭と侑の間に、重い沈黙が徐々に覆われていく。
「…………お前は今、『目の前の奇跡』を……見逃そうとしている。絶対に見逃すな」
友人が腕を組んだまま逡巡した後、鋭い視線で圭を見据える。
「……っ」
低く、落ち着いた声音ではあるが、強さも感じ取れる侑の声に、圭は反動するように顔を上げた。
「…………女と適当に関係を持っていたお前が、浦野さんを逃したら……恐らく、浦野さん以上に愛せる女性に出会う事は…………下手したら、ないかもしれないだろう」
侑が、アイスコーヒーをストローで啜ると、再び腕を組み、真剣な眼差しを圭に向けた。
「…………人と人の出会いは、『奇跡』だ。圭。目の前で起こっている『奇跡』が過ぎ去る前に、必ず掴み取れ」
「…………」
「…………今の言葉は、以前、俺がお前の弟、怜から言われた事だ。それを、俺は兄であるお前に返す。いいか? 浦野さんを愛しているのなら、静岡に行ってこい。そして、お前の過去を浦野さんに全て話し、想いを伝えてこい」
力説する侑に、圭は視線を外し、ドリンクに口を含ませる。
女の事で、泣き言じみた事を零したのは、侑が初めてであるが、友人は半ば呆れつつも、圭の話を真摯に聞いてくれた。
冷酷無情と思っていた侑が、熱い一面を持っている事を意外に思いながら、圭の中に温かなものが身体に沁みわたっていく。
「侑……。ありがとう……」
(女に対して、いい加減な俺にも…………向き合ってくれる友人が……いたんだな……)
圭は、侑の言葉をありがたく受け止めながら、残りのドリンクを一気に飲み干すのだった。
コメント
1件
侑さんの「奇跡を逃すな」って言葉、すごく響きました。弟の怜さんから伝えられた同じ言葉を、今度は兄の圭さんに届ける——この構成が美しいなあと。過去を隠さず話した圭さんと、それを真摯に受け止めて背中を押す侑さんの関係性に、じんわり温かくなりました。親友同士の熱い信頼が伝わってくる、いい回でしたね🍀
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