テラーノベル
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あらすじ
祖父の家の物置で見つけた、1ページに1文字だけ書かれた謎の本。西陽の差す時間だけ読めるその本には、毎日1文字ずつ、誰かの手によって文字が増えていた。遊んでもらった記憶のある祖父、厳しかった祖母、家族との思い出。本の中身は、自分の知らなかった「わたし」の過去を語り始める。
しかし、語り手は誰なのか──本の文はやがて、祖父の悩みや孤独、そして“妻”への小さな恐れをにじませる。言葉にせずにいた記憶、封じられた感情、それでも守りたかった家族の形。ページをめくるたび、静かな違和感が積み重なっていく。
そして、最終ページに現れたのは、「つ」「ま」「よ」 「で」「て」「い」「け」という一文。
それは願いか、警告か、それとも──。
一文字ずつ綴られた遺言は、今も西陽の中で続いている。
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