≪サイド:市花≫
 土曜日――
 昼前まで寝てしまった。
 自室についている専用のバスルームで寝癖を直した。
 大丈夫そうだが、念のため耳の下を刺激するむくみ解消マッサージをした。
 鏡に映るあたしはいつも通り可愛い。
 ふと、昨日の夜のことを思い出した。
 律君にネックレスを貰った。
「ふふっ」
 今日はこれを身につけて過ごそう。
 身だしなみを整えて一階に下りると、緋咲が食洗機のスイッチを押したところだった。
 金髪のウィッグを被って派手な格好でギャルメイクをして――あたしの生き写しみたいな姿で、立っている。
「緋咲、おはよ」
「……」
 緋咲はあたしを無視して、テレビを点けた。
 ソファに腰を下ろさず、あたしに背を向けてテレビを眺めている。
「緋咲****************************
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