「これで大丈夫や。万が一にも暴走せんし、ウチの加護までついてもうたしな。全部アンタの計画通りってことなんかな? ダリルぅ」
「ひさびさ過ぎて忘れられていたようだが思い出してくれて良かったよクローディア。お前とは今も昔も変わらずこの関係だ。そしてそれは唯一だ」
どうもダリルにいちゃんと人魚ねえちゃんは知り合いだったみたい。真っ直ぐ見つめられて人魚ねえちゃんは顔を真っ赤にした。
「ほんならウチが絡まってたいうのんも嘘なんや。ふーん。悪い男に拐かされたもんや」
「ああ、海に来ればお前のいるところなどすぐ分かる。会いたくなればいつだって引っ張り上げるさ」
またしても真っ赤になった人魚ねえちゃんは「ほ、ほなまた海に来たら呼んでえな」ってだけ言って帰っていった。
俺は新しく貰ったツルハシを持って例の崖に戻って来ている。
「がっはっは。ドワーフと人魚のエンチャントのツルハシなんぞこの世にふたつとねえ。ここにでっかい坑道を作ってみな!」
「うん! まかせろ!」
ツルハシは面白いほどに崖を削り取っていく。俺はまだまだ小さいけど道具ひとつでこれだけ変わるんだ。ドワーフのワザってのは本当にすごいんだな。
そのドワーフはダリルにいちゃんに飴玉を渡してダリルにいちゃんもありがとうと言っている。あのダリルにいちゃんがお礼を⁉︎ あれもワザか⁉︎
とりあえず俺はここに小屋を建てて出来上がりまでやってみることにした。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
職人たちも帰り静かな工房でダリルひとり。
中程で折れた木の柄と曲がって欠けたツルハシ。そして一握りの白い髭。それらを併せて加工する。そこにさらに霊酒という取り分け繋がりを強めるための酒をたっぷり注いでやる。酔っ払いにはこれがいいだろとの計らいだ。
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