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「卒業、おめでとう」
「おめでとう」
「ほんっとーに、おめでとう」
「……っ、ありがとう」
満面の笑顔を咲かせている彼女達に向けて、私は頬を涙で濡らすと不器用な笑顔を見せた。
──今日は、私の卒業式。
これは、皆んなが私の為に用意してくれたサプライズらしい。
「今までお疲れ様」
「向こうに行っても、一人で頑張ってね」
「大丈夫、怖くないって。私達が見守ってるから」
「う、うん……」
”怖い”なんて感情は、とっくの昔にどこかに捨ててきた。今の私にあるのは、安堵からくる安らぎ。
やっとここから卒業できるのだ。
痣だらけの自分の腕をそっと抱きしめると、私はその解放感から薄っすらと微笑んだ。
「それじゃ、バイバイ」
悪魔のような笑顔を向ける彼女達に背を向けると、私は立っていた屋上からトンッと軽く飛び跳ねた。
悲しいのか、嬉しいのか、よくわからない感情の涙が、風に乗って空へと消えてゆく。
──今日は、私の卒業式。
【解説】
卒業式とは、学校の卒業式という意味ではなくイジメという地獄からの解放という意味。
イタズラに人の命を弄ぶイジメという行為。それはまさに、悪魔のような所業。絶対に辞めましょうね。