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美花は、弾けるような笑顔で返事をすると、以来、少しずつ貯金をして、パソコンとDAWソフトを購入。
父が教えてくれたDTMの手ほどきを思い出しながら、就寝前に、少しずつ曲作りを再開させた。
『毎日、ワンフレーズでも曲を作る』
高校生活とアルバイトを両立させながら、美花はDTMの目標を定めた。
さらに、父と同様、DTMのオリジナル楽曲投稿サイトにも曲を公開し、合間に、ネットでDTMの支援サイトを見ながら、打ち込みテクニックを独学したり、父が生前聴いていたクラブミュージックのCDを始め、様々なジャンルの音楽を聴き、自らの耳に吸収していく。
投稿サイトを通して感想をもらえる事も増え、美花は、ますますDTMにのめり込んでいった。
高校卒業後、美花は現在の職場の前身、立川印刷技術工業に就職。
配属されたのは、物流事業部だった。
車の免許を持っていなかった美花は、仕事しながら教習所に通い、普通車の運転免許を取得すると、仕事柄、必須のフォークリフトの免許も取得。
二〇二四年四月一日、現在の、向陽プリントテクニカル 東京事業所と社名が変更しても、美花は、フォークリフトオペレーターとして、忙しい日々を送っている。
社会人になれば、ある程度の収入があるものの、家には三万円を食費として雪に渡し、たまに音楽機材を買ったり、小中学校の同級生でもあり、親友の本橋奈美と音羽 奏(おとわ かな)の三人で、女子会を楽しんだりしていた。
もちろん、合間にDTMで音楽を作曲するのも欠かさない。
以前、たくさんのオリジナル曲の投稿サイトがあったけど、今は、ほぼ閉鎖されてしまい、美花は動画投稿サイトに拠点を移し、『Hana』というクリエイターネームで活動している。
クラブミュージックを始め、多様なジャンルの曲をコンスタントに投稿している『Hana』は、DTM界では有名人となっていた。
***
「さて、さっそく新しいモニタリングヘッドフォンを使って、曲を作ろっかなぁ」
美花は、パソコンに真新しいヘッドフォンを接続させると、作り掛けのテクノを再生させる。
目を閉じ、腕を組みながら、自身が紡ぎ出した音に耳を澄ませていた。
「やばっ…………前のヘッドフォンだと聴こえてなかった音まで拾ってる! やっぱ業務用は違うっ!」
制作意欲が湧いた彼女は、マウスを手に取ると、さっそくベースラインを打ち込み始めた。