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#恋愛
ばたっちゅ
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215
#BL
NGS_ヘビーなしっぽ
204
[3918年6月17日1時06分/2号]
「あぁー…、まじしんどー…。」
「しっかり調査しろよー。」
今回の任務は、まぁ生き残った異星人を探すだけの楽な仕事だ。にしても、大分めんどくさいなー。最近じゃ、その任務に追われて、もう五日も本部帰れずに野宿。
しんどい体を動かしながら、熱帯の地をとぼとぼと歩く。3号はあの任務から大勢死んだせいか、ここ数週間ずっと元気がない。
私が何とか元気出せるような事言いたいけれど、3号に対してだと急に難しくなる。慰めたら慰めたで、しょんぼりしてそうだし。
「ねね、3号はさ。…退役したら、何したい〜?」
「……その話は、任務に必要か?…それに、そういうのフラグって言うんだよ?」
「たしかに。…俺、この任務が終わったら純子と結婚するんだ✨…みたいな?」
「いやわかんねぇぇぇ〜…、てか誰だよ純子って。」
「知らん。」
もう死亡フラグ立てまくってたら逆にフラグ折れる気がしてきた。でもこれ以上のフラグが思いつかない。てかフラグが未だによく分からんし。
2号たちは、人っけのない異星人の村を歩いた。村は廃墟と化していた。その廃墟は、既にツタに覆われていた。数年前に壊れた集落だろうか。
2号たちは家に入り込み念の為武器を構えた。だが、人らしきものは無さそうだった。家には、テーブルにお皿が置いてあった。
食べ物は腐っていたけれど、多分当時はかなりのご馳走だったと思う。
「こうやって、家族で団らんしながらご飯を食べてたのかな。」
「…団らん?家族ってのは、一緒にご飯を食べるものなの?」
3号は普段親にどんな扱い受けてきたんだろう。普通の家系なら、家族は切っても切れない絆があって、誰一人かけてはならない大切な存在。だったはず。
「どうして一緒にご飯を食べるんだ?」
「食卓を囲むことで仲を深めるんだよ。家族ってのは、そういう場所だよ。」
「…なるほど?」
あんまし理解できて無さそう。あの女が何をしたのかはよく分からない。5才まで虐待されてた。それは分かってるつもりだけど。
家族との団らんやらコミュニケーションが少ないとこんなにも話しが合わなくなるものなんだね。
「…変な質問していい?」
「…どうぞ。」
廃れた家の中、テーブルに目を向けていた2号は3号の方へと向けられた。だが、2号は話そうとして声を止めることを何度も続けた。
「…あの…さ…、3号って……。」
2号は、3号の表情を見てまた声を引っ込めるように黙った。そんなおずおずとした態度を見て、3号は顔を顰める。
「やっぱ…なんでもない…。」
「なんかムカつく。」
「ごめんって。この任務が終わったら言う。」
「サラッとフラグ立てるのやめて。」
2号は少しの気まずさをかき消そうと微笑んだが、その笑いは3号にでも分かるくらいらい歪んでいた。そうして家を一通り見て、家から離れようとしたが3号が腕を掴んできた。
様子がおかしい。というより、名残惜しさを感じているように感じた。何がしたいか、それはよく分からないけれど、安心させようと微笑んだ。
「案外、こんなクソッタレな戦場も悪くなかったよ。二度とこんな戦争が起きないといいけどね。争いは、私たちみたいなモノを産んじゃうから。」
「…うん…。…ありがと、いつも…気を使ってくれて。」
「…なにそれ…、変なの。こういう時に限って、素直になって…。」
「…最期に言っておきたかったんだ…。」
その発言に疑問を感じふと後ろを向いたその時だった。剣が振り下ろされている所を見て反射的に左腕で向けて致命傷を避けようとした。
私は今、3号に攻撃されたのだ。どうしてなんて考える前に、私の左腕が切り落とされていた。
急いで反撃しようと抜刀ようとした。けれど、右手じゃ抜刀はできない。急いで二本の剣を背中から下ろし一本だけ拾った。けれど、鞘を抜く前に次の攻撃が飛んできた。
3号は飛び上がり上から攻撃してきたのだ。剣で防ぐけれど、3号の体重が乗って片手じゃ上手く防ぐことができない。
そのまま3号の体重で押され、身体のバランスを崩した。あんなに軽かった3号が、今は何故か重く感じた。バランスを崩して倒れた私の上に、3号は乗り、剣先を私の心臓に向けた。
「3号…君は…。」
[3918年6月17日/3号]
「3号…君は…。」
剣を構え、2号に何時でもトドメをさせる状態になった。それはいいものの、未だにトドメを刺せない。あんなに、生きててよかったって思った。
どうして、2号は僕を罵倒しない。どうして、僕に殺す理由を聞かない…。どうして、僕に怒らない…。
「…君は、殺さなきゃいけない私に情がうつった。そんな理由で、躊躇うの?」
「躊躇ってなんか…ない…。」
2号は剣の刃を握り、掴んだ。僕は思わず放してしまった。けれど、2号は容赦無く僕の肩をさした。体の中に入る異物感と激痛で思わず離れた。
2号から離れる時、僕の身体に刺さった剣が抜かれたせいか出血がかなりきつい。視界の歪みを無視し、2号がさっき落とした剣を拾う。
だが、自分の武器よりも重く、持ち上げるのすら一苦労だった。持っている剣の刃先が地面に付く。自分の剣よりも長く大きい。
「3号にそれを扱うのは無理だよ。そんな細い腕でどうやって剣振るの?」
「うる…さい…。」
2号は軽々と僕の剣を持っていた。けれど、柄の頭に付いていたとある付属品に目をつけた。2号の耳飾りと同じ宝石、同じ形だった。
「…私は、君が思うよりずっと悪い人間。…私、君のお母さん殺したの。」
「………え…?」
心の底から出た、困惑の声。だって、知るはずもない。出会うはずもない僕の母を2号が知っていて、それも殺したなんて信じる方がおかしい。
それに、2号が人を殺せるほど器用には見えない。組織への忠誠心だって、信仰心だって、恐怖心だって抱いていなさそうな2号が何故。
僕は2号のことなんて少しも知らなかったんだ。
「何となく、察しはついてるよね。彼女は組織関係者で、ずっと行方を追っていた。だから、私は3号の母、西園寺 真希を…殺した。」
「でも、それじゃ…!2号はただ命令に従っていただけなんじゃ……。」
「違う。…任務通りなら捕縛だった。…私はあなたが嫌いだった。大っっ嫌いだった。だから…、…腹いせに……、殺してやった…。」
2号が、何を言ってるのわからない。そもそも、殺しただなんて実感がわかない。2号が何を考えてるのか、ますます分からなくなってきた。
どうして2号はこんなにも怖いと感じているのだろう。彼女の内側が分からない。
3号は、考えることをやめ、2号に剣を向けた。2号は右手というおぼつかない手つきで3号に剣を向けた。重たい剣を無理に持ち上げる3号を見て、2号は溜息をつき、嘲笑するように笑った。
「君は弱い。君は、自分を何一つ信じてないから何も出来ないし、そういう所が……大っ嫌い。」
「…うるさい…。うるさい…、うるさい…。」
これは、2号じゃない。これは、2号じゃない。敵でありただの敵ただの敵ただの知らない人。異星人かもしれない。僕はただの道具ただの道具。
『言うことを聞け。お前はただの道具だ。』
3号は何度も2号に剣を振る。その剣は大雑把で荒く、もはや3号は考えたくなくてか狂ったように笑い声を上げながらどんどん息を荒くした。
「あは…はは…もう、いいや…。」
3号は2号から少し離れ、自分に剣を向けた。そして、自身に刺そうとしたその時、2号は3号の手を掴んで止めた。
「…ざっけんなよ…。ふざけんなよ…!!そんなことして…、自分の責任から…簡単に…逃げんなよ!!!簡単に死のうなんて…考えるなよ…っ!!!」
「2号に言われたくないよ!!…僕は…、もううんざりなんだ…!!もう、死にたいんだよ!!!なんも知らないくせに!!」
だが、3号は2号を突き飛ばした。片手を失った2号の力じゃ、大した力を出すことはできなかった。
「3号!!馬鹿なことは───!!」
[3918年6月17日/2号]
目の前で3号が自分のコアを刺した。血が飛び散り私の頬に付く。私は、ただ目を丸くしてその死に様を目に焼きつけることしかできなかった。
3号はストレスに耐えかねて自死を選んだということだった。私が過剰にスレトスを与えたせいだ。ストレスを与えれば、いら立ちから私を躊躇わずに殺すって、そう思っていた。
嫌いにさせれば、罪悪感なく殺してくれるって期待していた。でも、それは甘かった。この子に私を殺せるような心の余裕は無かったというのに。
でも、私は3号に駆け寄り、倒れている3号の体を支えた。私はその姿を見て自然と涙が出てきた。どうして彼が死ななければならなかったんだ。
一体誰が、彼を追い詰めたのか。…私と、ファーストだ。私が、この子を無駄に追い詰めた。私のせいなんだ。ごめん、ごめんね。
「3号!!!嫌だ…、行かないで!!!私は君を…、君を…、また……。」
「…ごめん、…僕には……殺せない……。」
「なら…、一緒に…逃げようって…言ってくれたら…いつだって…いつだって私は君に味方する!!それなのに!…こんな形でお別れなんて…!!」
こんな組織からいっそさっさと逃げてしまえば、私たちはこんなに辛くなかった。いっそ、あの組織を滅ぼしてしまえば、私たちは、苦しくなかった。
私は、君の母を殺した。君は、私の家族を殺した。どちらも許される罪ではない。でも、君といた日々は、苦しい日を忘れるようで、楽しかった。嫌いだなんて本当は、思ってもない事だった。
「君も…、私の前から消えて…そっちに…行くの。私を…私を置いていってそっちに!!!そんなの卑怯だ…、ズルい……ずるいよ……。」
涙が3号にぽたぽたと落ちる。私も、みんなの所に行きたいよ。皆、これから死んでしまうんだ。
「2号…、この紙…返すよ…。2号が書いてた言葉、そのまま…返す…。」
「…甘ったれたことを言うな…!!私は…、最初から…死ぬ覚悟で君といた…。…その…私の気持ちを…返すと……ふざけるな…、私は……私…は………。」
「生きて…!2号は……、僕とは……違う……。2号は…、生きて…普通の人として…生きていける…。僕は……違う…!!…普通に…戻れない……。」
「普通って…どんなのよ…!!!3号がなんて言おうが…、私にとって君は普通の男の子だ…!!ただの…人間なのに…!!!」
涙が止まらない。どうして、この子が死ななければならない。私が死なないとだったのに、どうしてこの子が死んで、私が生きている。
私は、できることなら、3号との日を、続けていたかった。私は、君に。どう贖罪すれば良かったのだろう。救うことができなくてごめんね。苦しいのわかってて、何も与えれなくてごめん、ごめんね。
「3号…!!!3号っ…!!!3号……」
「葵陽…!!!私は君を諦めたりしない…!!諦めさせたりしたくない…!!私は…!!私は…!!」
喉から出る声、今にも切れそうなくらい大きな声を出した。涙声で喋れなくなるのを堪えながら何度も大声を出して葵陽に呼びかけた。
[RCU-003 死亡]
視界端に映ったのは、あまりにも残酷で無惨な現実。私は、友だちの死さえこんなちっぽけな機械に判断されなきゃならない。誤報であってほしい。
だから私は、動かなくなった3号の体を揺すって何度も起こそうとした。でも動かない。3号は、…もう二度と動かない。どうして…、どうして。
体からフッと力が抜ける。静かになった。ただ、鳥の鳴く声が遠くから聞こえる。ただ、思い出されるのは、出会ってから今までのことだ。
「今日、ちょっと寒いね…。…こんな日は、暖かいもの食べたいよね…。」
いつもみたいな雑談をしようとした。けれど、まともに話そうと思っていたことが出てこない。死んでしまったなんて、嘘かもしれない。
本当は生きていて、…今私の隣で話を聞いている。そうに違いない。私は、どうすれば良かっだろう。私には、…君を助けることが出来なかった。
頭の中で聞こえるのは、3号の声。初めて会ったあの時から、何一つ変わらない。小さいくて、落ち着いてて、でも、どこか寂しそうで。
君に笑ってもらえれば、私はなんでもしたよ。苦しいって、言ってくれれば、私はどんな事でも、私に対して何を思っていようが受け止めていた。
けれど、ひとりで抱え込んで、挙句…、こんな選択をしてしまった。私のせいで…、こうしないと耐えられないだなんて思わせて…、私…は…。
「…最初に言ったこと覚えてる…?」
「…例えどんな死でも、黙って耳を塞いでいるような愚劣はしない。」
「そう、言ったよね。…私は、彼らがずっと、人間に見えていた…。自分が人を殺している、そう思い続けながら、今まで殺してきた。」
だからこそ、彼らに目を逸らす3号は、最初は少しズルいって思った。けれど、3号は逸らさなきゃ、やっていけなかったんだ。
「…皆、…苦しいことから目を逸らさないと…、…見たくないことから目を逸らさなきゃ…やっていけなかったんだ…。」
私も、自分の痛みを逸らし続けていたんだよ。自分から目を逸らして、自分を抑えつけて。…そうじゃなきゃ、やっていけなかった。
「3号、…私さ…。退役して…、一緒にさ、…大人になったら、君とお酒飲んだり、仕事とやらの愚痴を言ったり…、133号たちと遊んだり。」
本当は、死にたいだなんて思いたくなかった。生きたいって思いたかった。希望を持って、未来に期待して、普通を、つまらないと感じたり。
「最初、私のコミュ力の無さで引いてた時は、ちょっと傷ついたけど。」
いつものこと。思い出される情景。泥臭い情景。けれど、そこでの思い出が、悪いものに感じなかった。そう、させなかったのは君のおかげだった。
「あの時あんな喧嘩したって、10年後にさ。酒でも飲みながら言い合って…、…そんでこれから何回も何回も、飽きるまで喧嘩して謝って…。」
言葉を出そうとして飲み込んだ。これ以上、喋ろうが意味が無い。でも、分かっていたのに、2号は口を閉じようとしなかった。
「…あはは…………………………………3号……。」
「あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁぁっ…。どう…して…ぁぁ…ぁぁっ…ど…う…して……あぁぁっ……。」
涙が一気に押し寄せる。頭に何度も思い出される君の姿、形…。私を置いて行った君は、私に失敗作じゃないって否定してくれた。君は、私に生きて欲しいって、君は私に暖かいものを与えてくれた。
『2号は失敗作じゃない!!!!』
「…あのね…本当は、嬉しかった…。あの時…、違うって否定してくれて…。君が大切だったから…君に怒られた時…すごく…怖かった…!!!」
「葵陽……葵陽……葵陽…!!!」
頭の中に何度も思い出が蘇る。どれも綺麗なものばかりだ。どれだけ苦しくても、この数ヶ月間、君といた日々は、私に喜びを与えてくれた。
君は、私を殺す立場でありながら…、優しくしようって…、それがどれほど自分の判断を鈍らせるのか、分かっていたのに…!!
断片的に流れる彼の記憶。断片的に再生されるような声。助けられなかった彼、助けようとしてくれた彼。あの時、危険任務にわざわざ来たのも、この戦争が終われば、私が死なないと、思ってたんだ…。
「私…わた…し…は…。」
不意に心臓が熱くなった。何となく、コアが破壊されたことがわかった。私は、他の子に殺されたのだ。…死にたくなんかない。
葵陽を忘れたくない。あの思い出のこと、今までの事。…133号や86号達だって…、私は覚えてないといけないのに。
なのに、私の意志を反するように体は鈍くなる。苦しくなる。動かなかなる。…意識がどんどん闇に落ちていくような感覚。
初めて、…死の恐怖を味わった。今まで死んで言った子達は、私の記憶から消えてしまう。忘れたくない。忘れたく…ない…。
「忘れたく…ない…よ…。」
家族の記憶すら、死は、簡単に奪ってしまう。本当の死は、無だ。私は、どんな形であろうと…いずれ、何も無くなってしまう。
結局は…、大切な人の記憶さえも…。
君は……大せつ…な……
[RCU-002 死亡]
『こちら78号。執行任…務完了…。』
「痛い…痛い痛い痛い痛いっっっ…!!!」
幼い頃から何度も傷をつけりていた。私の家族が死んでからずっとそうだった。ハサミで切られた。内臓をえぐられた。切り裂かれて貼り付けにされて放置さらた。傷つける度に治されまた傷つける。
一体何のための実験なのか、私は毎日のように続く痛みから怯えて恐怖するしか無かった。痛みのトラウマから、体の傷が治らない。
体がずっと、痛くて痛くて仕方なかった。いつか死ぬのではないかと恐怖し、怯えることしか出来なかった。私は、全く同じ顔をしたF2を羨ましく思った。私は失敗作だと言われ血を搾取された。
F2は私の血を飲まされ続ける、それだけ。私だけが搾取され続けていたのだ。痛みで何度も死にたくなった。自分と違い優遇されているF2を殺してやりたいって憎悪すらあった。
「お前は失敗作だ。お前はずっと、F2のようにはなれない。瓜二つの容姿や声をしてくるせにお前は随分と違う欠陥品だな。」
「ごめんなさい…。」
「君は組織に貢献しようという危害はないのかな?そりゃそうだよね。私が憎いか?その殺意を私やF2に向ければ即刻処刑されるんだよ?」
ファーストの言葉は恐怖でもあった。私は心や身体を何度も切り刻まれていた。比較や脅迫、軽蔑や侮辱を受けても私は黙ることしか出来ない。
でも、F2の前では笑顔でいた。F2はいい子だったんだ。優しくて私が痛がると不安でないてしまうような泣き虫で、ムカつくくらい心配してきた。
『お前が憎い…!!!私の欲しいもの持ってるくせに!!不幸ズラして気弱で…気持ち悪い…。』
なんて心にしまっていた。閉じ込めて押し込んで笑顔を貼りつけてただいい子にしようとした。
「F1…、私怖いよ…、いつか君が死んじゃうかもって…お願い…死なないで…。」
「……死なないよ。どこにも行かないから。」
なんて、思ってもないこと、どうでもいいことを適当に言って安心させた。単純すぎて話にもらならない。それくらい、この子は単純だった。
でも、ある時私にも変化が起きた。身体をどんなに切られても痛くなくなっていた。罵声を浴びても、大して苦しいなんて思わなくなっていた。
だから、痛みなんて忘れてしまった。何を言われてもニコニコできるようになった。その時から、笑顔がすごく楽な気がした。
けれど、変化は私だけじゃなかった。F2が、私を裏切り脱走したのだ。その子は、私に手紙を残した。そこに書いていたのは、「さようなら」。その一文だけだった。
だから、余計ムカついた。私は耐えてたのに、あいつは大して苦しんでないくせに逃げた。あいつは、私と違って成功作なのに…!!
その時、痛みも何も無かったからだに痛みが走った。胸が痛くて息が苦しくて喉が詰まった感覚。それは、誰かに首を絞められてる感覚に近かった。
腹の底から湧き上がる怒りに耐えかねて、発狂した。私は痛かったんだ。この痛みをずっと、癒してくれる人間なんていない。助けだってない。
「痛い痛い痛い痛いあ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っっ!!!」
叫んで叫んだ後、もうどうでも良くなった。もう、なんでも良かった。だから、私は痛みなんて慣れてしまったから、全てどうでも良くなった。
けれど、F1が…、トコイがずっと、憎かった。
[3918年6月10日/3号]
7日前────
この任務では、まぁ難しい任務だった。130号と133号、134号の三人を同時に殺す任務だったからだ。久しぶりの人を殺す任務に、僕は少し苦戦した。
特に、134号がいちばん怖かった。この時の任務も、異星人の残党を探し出すだけの単純な任務だったから、隙はいくらでも付ける。
川辺の村だった。130号と133号は仲がいいから、川で遊びに行ったみたいだけど、僕は二人の仲に入るのが苦手だったから134号の所に行った。
「何してるの。」
「何って、家荒らし」
134号は机やらなんやらを適当に蹴飛ばして何か探している様子だった。人の家だというのに悪びれる様子はひとつも見えない。
134号は、一々こっちの様子をチラチラと見てきた。だから、殺すタイミングが掴めない。剣を抜いたら速攻バレそうだ。
けど、134号は肉弾戦は苦手だ。だから、首を掴んで締め上げるのも容易だと感じた。だから、僕は、わざと躓いた。
134号は、慌てて支えてくれたけど、何かに気づいたのか僕が体勢を整える前に手を放した。でも、ちょうど首が掴めたから、首を掴んだ。
そのまま地面に叩きつけて、134号は頭から血を流してた。けど、それじゃ意識、失わなかった。だから、首を絞めたら泣きはじめて困った。
「やめて…!!首は…嫌だ…っ…いやだっ…!!!」
必死でもがいて僕の手を掴んだり、何度も引っ掻いたり抵抗してお腹を蹴られた。何度も足をバタバタさせてパニックになってた。
「3号…!!やめて…!!やめてっ!!お願いっ…!お願いだから…!!首は…やだっやだやだやだっ!!」
「ごめ…なさ…い…。ご、ごめ…さい…。」
上手く謝れない。殺したくない…。苦しい顔だって、見たくないよ。お願いだから大人しく死んでよ…。
134号は段々、抵抗が鈍くなり、最終的に泡を吹いて気絶していた。だから、気絶してるうちに、剣で心臓を、コアを破壊して殺した。
そのまま、130号達の所に行った。その時は、何を考えていたのか分からない。とにかく、もう全部どうでも良くなった。だから僕は133号に切りかかった。ただ何となく。もう、なんでも良かったんだ。
けど、130号がそれを剣で防いだ。やっぱり守ろうとした。やっぱり、この二人は苦手だ。130号は、3号は混乱していると思ってか、僕の肩を掴んだ。
「何してんの!!何があった?!134号は?!」
僕のこと、信用してる不用心な子だった。この子は、殺さなくてもどこかで勝手に死んでくれてると思った。だから、友達だって思ってた。
だから、鈍ったんだ。この間に殺せなかった。ただ、130号の肩を押して、130号より先に133号のことを、刺し殺したんだ。
「ほっちゃん…!!」
133号は、130号の方を見て痛みに顔を歪めながら倒れた。130号は、発狂して僕を刺してきた。だから抵抗しようとしたけど体が急に動かなくなった。
「なんで…、なんで…?茉莉…殺しといて…、なに…殺されたいって…思って…だよ…。なら一人で死ね…!僕が…死んでから…一人で死ねよ…!!」
130号は、僕の体に向かって刃を突き立て腹部をさした。気持ち悪さと痛みから地面に座るこんだ。けれど、130号が僕にトドメを刺さす事はなかった。
133号の方に駆け寄っていた。僕に背を向けて。そんな無防備なことをして、簡単に殺せてしまうのに。僕は結局殺すことができない。
「茉莉…っ!!お願いだから…返事をしてよ!!いつもみたいに…笑って…っぁあ…。」
「ほっ…ちゃん……。」
僕は、133号を殺したんだ。いずれ声も出なくなる。いずれ、力尽き、動かなくなる。もう既に、133号は声を出すのも限界だ。
「ほっちゃんは…私の事なんて気にせず…に…いて…。何があっても…生きてよ…。」
「そんなの無理だよ!!僕は、茉莉がいなきゃ…、もう……生きる価値が…ないんだ…。」
「そうやっていっつも…。私の気持ち…、ちょっとは…考えてよ…。君に…幸せになって欲しくないわけ…ないじゃん…。…生きて…ね…。」
「茉莉がいないならどこでも一緒だ…!!僕も…僕もすぐ行くから…。」
そうなってくれた方が、任務に好都合だ。130号は依存していた。133号という一人の少女に。ただ、そんな依存心を利用した訳じゃない。
ただ、何となくだ。僕は、動きなくなった133号を抱えている130号をただ見ていた。頭の中をぐるぐるとして何も考えられない。
なにも考えず、130号に剣を向けた。130号は、僕を殺すのを躊躇っていた。だから、君は殺される。僕なんか信用するからだ…。
「…この世界は…、地獄だよ…。僕は…、茉莉以外…いらなかった…。必要ない…。さっさと殺せよ…。」
「……。」
何も言わずにただ130号の心臓を、破壊した。殺したんじゃない。…ただ、壊れただけなんだ。ちがう。こんなの、ただの悪夢なんだ。
けれど、3号は膝をついて剣を落とした。そうせざるおえない。立っていられないくらい、3号の体は疲労のせいで震えていた。
「あ…あぁ……あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っ”…!!!僕は…、何で…!!何で…なんでなんでなんで…!!なんで…こんな役ばっか…ぁ”ぁ”っ。」
3号は地面に座り、ただ一人泣いていた。誰も慰めなどしない、誰も助けやしない。その相手はもう、とっくに死んでいるのだから当たり前だ。
「なんだよ…これっ…なんで……涙っ…あ”ぁ”ぁ”…。」
ただ、声を上げて泣くことしかできない。この時、また実感した。生きることは地獄だということを。この世に救いなどひとつもないと。
自分には、幸せの道はひとつもない。幸せなど許されない。これは、この世に生まれた罰だろうか。自分は、幸せすら掴むことができないのだろうか。
こうして、殺すこと以外許されない世界なら、滅んでしまえばいいのに。そう、本気で思ってしまった。けれど、人間に殺意を持つことは、禁じられている。自分は人間ではなく、奴隷だと思い知った。
[3918年6月8日/3号]
2号死亡から9日前────
「何を言っているのですか?ふざけてます?」
「ふざけてないよ。3号には、130号、133号、134号を処分する任務を与えます。」
「はぁ?だから、三人のコア反応に何か問題が?それにコイツらまだガキじゃないですか!!」
「いいや、通常個体は皆死んでもらうことにしたんだ。」
意味がわからない。執行人は何人かいる。けれど、数少ない執行人に何百人も殺せと言う。こいつは、頭がおかしいどころじゃない。
それに、相手だって強いやつはいる。個体差だってかなりあるのに数少ない戦力で全員殺せなんて無理難題がすぎる。
「それに、…殺せません…。」
「それと、130号達もそうだけど、2号もお願いね。1号は、2号が終わったその後でもいい。」
「なにを…言ってるのですか…。僕は、…あなたの道具じゃない…!!都合のいい道具じゃない!!!」
3号は首を横に何度も振り拒否した。だが、ファーストは笑顔で圧をかけるだけだった。3号は日々のフラストレーションからイライラし始める。
むしろ、殺意に近い何かを抱いた。だが、ファーストは3号に注射液を打ち込んだ。すると3号の体から不意に激痛が走り地面に倒れ込んだ。
「い”っあ”ぁ”ぁ”っっっ!」
「ほら、どうする?はいって言いなさい。やりますって、あなたは道具、あなたは使い捨ての道具。」
痛みから3号の身体は痙攣した。逃げ場な無い激痛から身体をばたつかせる。声を上げることすら激痛になり、息をしたきもない。
その痛みから逃れたいという気持ちと、昔から薬を打たれ何度も苦しめられたトラウマが一気にフラッシュバックした。
「これでも、耐えるんだ…。別にやりたくないなら96号に頼むからいいよ。…あの子、…殺すの下手でね。3号が今感じてる痛みよりもっと痛い殺し方で、殺しちゃうんだけどね…。」
「…ぇ…っ?…それだけはやめてっ…!!分かりましたっ…いい子にします…っ!!ちゃんと…任務やる…だから…許しください…ごめんなさいっ…!!僕が全部…悪いです…っ…。僕が全部…おかしかった…です…。なので…、お願いします…やめてください…。」
「泣かない泣かない。君は本当にいい子だね。うんうん。分かってるよ。私はちゃんと分かってるから。偉いよ。うんうん。」
ファーストは、激痛で悶える3号を子供をあやす様に撫でて笑いかけた。
[報告]
今回RCU-003がRCU-002の処分任務に当たったところ、自害したことが判明。尚、想定済みの事であるためコアを複製し、自我のない人型兵器へとなります。今回、異星人が降伏したことにより核体兵器は必要はありません。ですが、エーテルだけで動くほぼ不死身の兵器を殺し、コアデータをコピーすることにより、意志のない本物の兵器が完成いたしました。ですが、同じ個体が同時に存在することをすることは世界のバグを産む可能性があるため、何千万という兵士の導入は期待できません。では、我々のスフェルナ星侵攻作戦は成功となります。異星人の弱体化と技術退化が上手く重なったことで我々は素晴らしい資源を手にすることが出来た。それからとある財閥の椿希様が開発したアンドロイドのプロトタイプの数値を見て目覚しいものがあった。そのため、是非軍事利用に活用するべく交渉する方針を立てているため、確認しておくように。以上を持ちまして本計画は終了です。お疲れ様でした。
これは、僕たちが生まれたのが悪かったんだ。
最初から、僕たちが生まれたこと自体が間違っていた。
結局人間は自滅する。
なら、滅んだ時はあの世で笑ってやる。
お前らなんか最初っから居ても居なくても同じだって。
お前らの存在はこの世界じゃちっぽけな存在だって。
お前らのやってきたことは全部無意味だって。
コメント
1件
うわ……この話、胸が痛すぎる……。 2号が3号のお母さんを♡♡♡たって真実、そして3号が自分を♡♡♡てしまう展開。2号の「私を置いていかないで」って叫びが本当に切なくて。2号はずっと強がってたけど、本当は3号のこと大切に思ってたんだなって伝わってきた。 でも、もう届かないんだよね……。救いのない世界だけど、2号と3号の間には確かにあった絆を思うと、涙が出そうになりました。