テラーノベル
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ひと通り案内してもらって、音楽室をでようとした時。
🧡「もう帰るん?」
💙「え、あ…はい。今日は見学だけだったんで 」
そう答えると、向井はきょとんとした顔をしてから、少し寂しそうに笑った。
🧡「まだおってええんやで」
💙「え?」
🧡「今日、活動日ちゃうし。しょっぴーと音楽の話してる時めっちゃ楽しいし」
……しょっぴー?
一瞬、誰のことか分からなくて固まる。
💙「誰ですかそれ」
🧡「翔太」
俺の方を指差しにっと笑った。
くそ、名前教えなきゃよかった。
前にもこんなことあった気が……
音楽の話が楽しくて、好きな曲だの、歌い方だの、気づいたら自然に名前を名乗っていたんだ。
警戒してたはずなのに。
🧡「翔太って呼ぶのもいいけど、あだ名の方が結構親しみやすいしな」
満面の笑みを浮かべた。
🧡「結構いいやろ、しょっぴー♡」
なんか一気に距離を詰められた感じがして、寒気がした。
それにいつの間にか俺のすぐ横まで来てるし。
近い……
🧡「好きなアーティストも被ってるし、あの曲の解釈も一緒やし。あれ?これしょっぴーやなって」
💙「意味わかんない です…」
🧡「俺も何言ってるんか分からんくなってきた」
よく分からないけど思わず笑ってしまう。
💙「では、今日はこの辺で」
そう言うと、向井は一瞬だけ残念そうにしてた。
🧡「そっか。ほな、またね」
💙「はい」
🧡「こうやって、本気で音楽好きなやつと話すん、久しぶりで楽しかったで」
その言葉に、胸の奥が少しだけ温かくなる。
🧡「明日のオリエン来てな、しょっぴー」
💙「それ定着させる気ですか?」
🧡「もちろんや 」
そして、音楽室を出て、扉を閉めた。
……なんなんだ、あの人
距離は近いし、テンポは早いし、
でも、今のところ1番話の合う人だったなぁ
けど。脳裏によぎる光景があった。
白雪狩り…
ほんと油断はできないな
そう自分に言い聞かせて、廊下を歩き出した。
次は、ダンス部も覗いてみよっかな。
そう思った、瞬間──
ぎゅっ。
💙「っ……?!」
声が出なかった。
一瞬何が起きたのか分かんなくて、完全に思考が止まる。
後ろから回された腕。
近すぎる体温。
ぎゅっ
💙「…っ」
また強く力が込められた。
︎🤍「昨日、逃げたでしょ」
……最悪。
何となく予想はついてたが、声でやっと確信した。
💙「いや、だって……」
︎🤍「だって?」
聞き返されて、言葉が詰まる。
「だって、お前がキスとかするからだろう!!」
まぁもちろん、言えるわけでもなく。
誤魔化すように視線を逸らすと、少し不満そうな顔をした。
でも、それ以上は何も言ってこない。
︎🤍「……これから、どっか行くの? 」
💙「さっき、サウンド部ってとこ見に行ってて。今からダンス部も、覗いてみよっかなって」
︎🤍「え、ほんと?」
ぱぁっと、分かりやすく表情が明るくなった。
と、次の瞬間手を掴まれた。
💙「ちょ、ちょっと!」
︎🤍「こっち!」
引っ張られるまま、走り出す。
💙「速い!速いって…」
身体も脚も違いすぎる。
息があがって、ついて行くのに精一杯。
︎🤍「ほら、着いたよ」
明るい声と同時に、足が止まった。
💙「……はぁ、はぁ……へ?」
顔を上げると、そこはダンス部の前。
💙「あ……」
︎🤍「ダンス部」
案内してくれたんだ、とようやく理解する。
💙「はぁ……ありがとう」
︎🤍「どういたしまして」
💙「てか、なんで走ったんだよ」
︎🤍「俺、ダンス部だからさ。嬉しくて、つい」
さっきまで余裕そうな感じが嘘みたいで、今のラウールは、ちゃんと年下に見えた。
そう思った瞬間。
︎🤍「ほら、見ていってよ 」
また、手を引かれる
💙「ちょ」
抵抗する前に、もう一歩踏み出してしまっていた。
ほんと、調子狂う…
ラウールに引かれるまま、ダンス部の扉へと向かった。
あっという間に♡100越え。
いつも感謝してます。
NEXT→♡100
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