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保坂さんの素直な気持ち元奥様に伝えたら又関係が変わって来るかも!
保坂さん、少しずつ埋まっていくと思います。奥さまもきっとわかってくださる。だって保坂さんの表情が素敵だから✨
ね、保科さん❣️優羽ちゃんステキでしょ⁉️ それはきっと岳大さんていう山みたいででもとても優しくて優羽ちゃんを守ってくれる人がそばにいるから優羽ちゃんも周りの人にとても優しいのよ🌷🎉 だから優羽ちゃんの言うことを信じて元妻さんとも話をしたら少し距離が近くなれると思うよ🥰 頑張って😉👍
次の日、テレビ局のスタッフ達は岳大の店舗建設現場へ出かけて行った。今日は建築中の店舗を背景に岳大のインタビューを撮影するらしい。
そして岳大がこれから生活を始める信濃大町の取材もするようだ。
撮影は明日まででテレビ局の関係者はもう一泊この宿へ宿泊する事になっていた。
二日目の撮影を無事に終えて夕方スタッフ達が戻って来た。帰るなり皆すぐに温泉へ向かい三橋シェフが腕を振るう夕食までのんびりくつろぐようだ。
優羽は戻って来たスタッフ達に「お疲れさまでした」と声をかけながらフロント業務をしていた。ちょうど今日宿泊する一般客のチェックインをしているところだ。
スタッフの中には戻るなりカフェに行きコーヒーを飲む者たちもいたが、そちらは手伝いに来ていた舞子が対応してくれている。
フロントの仕事が一段落した優羽の元へディレクターの保坂が近づいて来た。
優羽は保坂に気づくと声をかけた。
「お疲れ様でした。今日の撮影は順調でしたか?」
「はい。とてもいい映像が撮れました」
保坂は微笑みながら続ける。
「森村さんはシングルマザーなんですってね」
いきなりそんな事を言われたので優羽は驚いたが素直に答えた。
「はい、ここで住み込みで働かせてもらっています」
「元ご主人はどうされているのですか?」
保坂がふいにそう聞いたので優羽は一瞬ためらった後正直に答える。
「私、結婚していないんです。結婚しないまま子供を産みました」
その答えに保坂は少し驚いた様子だった。
「そうでしたか。その理由を聞いてもいいかな?」
優羽はびっくりしていた。まだ会って間もない保坂にここまで聞かれるとは思ってもいなかったからだ。
しかし特に隠すような事でもないので答える。
「独身だと思ってお付き合いしていた方が実は既婚者でした。お付き合いする前に離婚してバツイチだと聞いていたのですが今思えばただの別居だったのかもしれません。バカですよね」
優羽は淋しそうに笑った。
「いや、君が馬鹿なんじゃなくてその男の方が馬鹿なんですよ。君は何も悪くない!」
「ありがとうございます」
保坂が力強くそう言ったので優羽は小さな声でお礼を言った。
「男ってね、基本的に馬鹿な生き物なんですよ。失ってみて初めて気づく、その手放した物の尊さにね。で、気付いた時にはもう既に手遅れなんだ。ほんと馬鹿みたいだよね。実は私もバツイチなんですよ。子供が小さい時に離婚して…あ、今はもう成人して去年結婚しましたけどね。でもね、あいつとの失った時間をもう取り戻す事は出来ないんです。今それを悔いています。悔やんでもどうしようもないのにね」
保坂が弱々し言ったので優羽は聞いた。
「今、お子さんと交流は?」
「あります。結婚式にも呼んでくれました」
保坂の言葉に優羽はホッとした表情をした。
「だったら大丈夫ですよ。これから取り戻せます。今まで言えなかった事、今言いたい事を言葉にしてちゃんと伝えればきっと伝わりますから」
優羽の言葉に思わず保坂の目が潤む。
「ありがとう。元妻にも言ってみるかな、当時言えなかった事を」
「是非! 優しい気持ちは必ず相手に伝わりますから」
優羽は微笑んで言った。
そこへ流星が歩いて来た。
「ママ、ちょっときて!」
「なあに? どうしたの? スミマセン、ちょっと失礼します」
優羽は保坂に会釈をすると流星の手を引いて自室へ戻って行った。
二人の後ろ姿を見つめながら保坂は缶コーヒーの残りを一気に飲み干した。そして窓の外を見つめる。
降り続ける真っ白な雪は、保坂の後悔を優しくかき消すかのようにしんしんと降り積もっていった。