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「はぁ……もう限界……」
萌香は机に突っ伏し、涙目でつぶやいた。目の前の英検1級の参考書は、まるで魔道書のように難解な単語の羅列を放っている。
「procrastination…? これって……なに? ねぇ、みりん?」
萌香が助けを求めるようにみりんを見た。みりんはノートを片手に、余裕の表情で答える。
「“先延ばし”って意味だよ。ほら、萌香が宿題やらずにゲームしてるやつ。」
「うるさい!」
萌香がふくれっ面になりながら、ページをめくる。
一方、いさなはペンをカチカチしながら、ひたすら真剣な表情で問題に取り組んでいた。
「ふむ……‘ephemeral’は“はかない”って意味か……なんか詩的だね……」
「いさな、さすがに真面目すぎない? ちょっと休憩しようよ。」
萌香がぼやくと、いさなは冷静に答えた。
「英検1級だよ? これ、合格したらめっちゃカッコいいじゃん?」
「えぇ~……私、そもそも‘hypothetical’とか‘ubiquitous’とか聞いたこともない単語ばっかりで頭パンクしそうなんだけど!」
萌香が机に突っ伏すと、先生がニヤリと笑いながら近づいてきた。
「お、いい感じに疲れてるねぇ。じゃあちょっとスペシャル問題出しちゃおうかな~。」
「えっ……?」
「次の単語の意味を答えてみて。‘flabbergasted’。」
「え、フラ……なにそれ?」
「ふっふっふ……ヒントは、萌香がカエルの脳みそを見たときのリアクション!」
「……“めっちゃ驚く”って意味?」
「正解!」
「そんなのできるかぁ!」
萌香が叫ぶと、みりんがクスクスと笑った。
「まぁ、単語はイメージで覚えるのが大事だよね。」
「じゃあこれはどう? ‘serendipity’。」
「せ……せれん……なに?」
「簡単に言うと、偶然の幸運ってこと。例えば、補修合宿でカエルの脳みそに出会えたのもある意味‘serendipity’……」
「絶対違う!!!!!」
萌香が全力でツッコむ中、先生は満足げに頷いた。
「よしよし、いい感じに頭動いてるね! あと2時間頑張ろうか♪」
「地獄だ……」
そんな中、いさなだけは小声でつぶやいた。
「‘perseverance’……あぁ、まさに今の私たちだな……」
補修合宿の夜は、まだまだ終わりそうになかった。