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正しい猫のかぶりかた

第37話「取っておいて」

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2022年05月22日

#ドラマ#SF#動物

第37話 取っておいて

「今……少しだけでいいので、時間を……私にください」

冬花――のフリをしている銀二の前で、美春が丁寧に頭を下げている。

(さぁて、どうしたもんかね――)

「私……古河さんに言わなきゃいけないことがあって、それで」

沈黙に耐えかねたのか、銀二の反応を待たずに話し始める美春。

「――ちょっと待った」

「え」

キッパリ言って遮ると、美春が顔を上げた。

目を丸くしているのは、言葉を遮られたから――というだけでもなさそうだ。

(やべ、思わず……いやでも、ここで「完全の冬花のフリ」をしちゃまずいか)

銀二は猫又故に、入れ替わっても元に戻っても、「その身体」の記憶を見ることができる。

だが、普通の人間である冬花は違う。

(オレが説明すりゃ情報の共有はできる。でもそれじゃあ――意味ねぇよな、この場合)

面倒くさいとばかりに内心でため息をつく銀二だった。。。

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