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第37話 取っておいて
「今……少しだけでいいので、時間を……私にください」
冬花――のフリをしている銀二の前で、美春が丁寧に頭を下げている。
(さぁて、どうしたもんかね――)
「私……古河さんに言わなきゃいけないことがあって、それで」
沈黙に耐えかねたのか、銀二の反応を待たずに話し始める美春。
「――ちょっと待った」
「え」
キッパリ言って遮ると、美春が顔を上げた。
目を丸くしているのは、言葉を遮られたから――というだけでもなさそうだ。
(やべ、思わず……いやでも、ここで「完全の冬花のフリ」をしちゃまずいか)
銀二は猫又故に、入れ替わっても元に戻っても、「その身体」の記憶を見ることができる。
だが、普通の人間である冬花は違う。
(オレが説明すりゃ情報の共有はできる。でもそれじゃあ――意味ねぇよな、この場合)
面倒くさいとばかりに内心でため息をつく銀二だった**********************
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