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#読み切り
ruruha
656
#リスカ表現あり
†♡つばき♡†
1,879
スマホの画面を閉じても、文字が頭の内側に焼きついて消えない。
「迷子くん」「犬座り」「俺らのエンタメ」。
その一つひとつが皮膚を裂く刃のように、ゆっくり体の奥へ沈んでいく。
「……俺が、悪いんだろ……」
声に出すと、自分の声がひどく遠く感じた。
部屋の中には誰もいないのに、返事が返ってくるような錯覚があった。
〈次は首輪でも持ってきてやろうか〉
その文字が、脳裏で繰り返し再生される。
「首輪でもなんでも……俺が我慢すれば、もう……」
呟いたとき、手のひらが無意識に爪を立てていた。皮膚が薄く裂け、赤い線が浮かぶ。
“笑えば、少しはマシになる”
その古い記憶が、今は嘲笑に変わって胸を締めつける。
笑おうとするが、頬の筋肉が引きつって動かない。
鏡に映る自分は、笑いと泣きの境目のような顔をしていた。
「……なんで、いつも……俺ばっか……」
声がかすれて、喉が痛む。
涙の代わりに、ひび割れた声だけがこぼれ落ちる。
スマホが再び震えた。
〈明日も頼むわ、迷子くん〉
その一文を見た瞬間、胸の奥で何かが崩れた。
怒りではない。
反発でもない。
“そうするしかない”と、自分が自分を追い詰めていく感覚。
「……わかったよ……俺がそういう役なんだろ」
誰に向かって言っているのかわからない声。
そのまま額を床に押しつけるようにして、呼吸を止める。
胸の中で膨らむのは怒りではなく、深い穴のような自己嫌悪だった。
“これが終われば笑ってくれる”
そんな幻想にすがりつきながら、指が勝手に画面を開いていた。
既読をつけるたびに、自分の存在を証明するように。
自分の傷を、さらに深く抉るように。