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#読み切り
紫道
立秋 芽々(りしゅう めめ)
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効果より重いもの
何も表示されていない。
何もないページを、
しばらく見つめる。
机の前に立ち、
片足に体重を預ける。
ベージュのシャツは洗いざらしで、
背中に小さな皺が寄っている。
ズボンの裾は床に触れ、
かかとで少し踏まれている。
髪は整えず、
指で梳いた跡だけが残っている。
レキシリーダを持たない。
触れなければ、
何も起きない。
それだけのはずだった。
言葉は、
そこにある。
増えていない。
加工されていない。
効果も付いていない。
なのに、
重い。
選ばないという選択。
何も足さないという状態。
今までは、
軽かった。
足りなければ、
買えばいい。
迷えば、
付ければいい。
今日は、
そうしない。
胸の奥に、
空間ができる。
埋めないまま、
残っている。
呼吸が遅くなる。
次の言葉が、
自然に来ない。
それでも、
逃げない。
机に手をつき、
体を支える。
指先に、
確かな感触がある。
効果はない。
補正もない。
ただ、
自分の言葉が、
そのままここにある。
レキシリーダは、
棚の上に置いたまま。
何も付けていない状態が、
今までで、
いちばん重い。
それでも、
下ろさない。
効果より重いものを、
今日は、
そのまま持っている。