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めかぶぷりん
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向井と佐久間が来てから1週間。
向井は人間に戻るための研究として阿部に全面協力していた。
DNA及び血液の提供
レントゲンの撮影
抜け落ちた鱗の提供
まずは人魚の生態を究明する必要がある。向井は自分に出来ることは全て快く引き受けた。
💚「うーん……興味深い……。康二の細胞の中に始めてみる因子がある。しかも大量に。人魚になっている原因はこれなんじゃないかな」
🧡「どっから入ったんやろ……」
💚「それはわかんないな。世の中には原因不明の奇病はいっぱいあるからね」
🧡「今までもおったん?変わった病気の人」
💚「俺は奇病を専門に研究してるからね。例のない病気の患者をみたこともあったよ。もちろん今回の人魚も、康二や佐久間が俺にとっては初めての患者さんだ」
🧡「……俺、治るんかな…」
💚「大丈夫。時間はかけちゃうかもしれないけど、療法を見つけ出してみせるよ」
そんな2人のやり取りを何も言わずにジッと見つめる者がいた。
🩷「…………」
佐久間だ。
佐久間は向井とは違って人間に戻りたいという意思がない。
人間をまだ信用しきっていないことに加え、極度の人見知りだった佐久間は 水槽の底の隅でちょこんと大人しく座り尾を丸めていた。
💚「……康二。今日はもうゆっくり休んで。ありがとう」
🧡「おやすみ〜あべちゃん!」
向井は水槽の中の自分の部屋へ戻っていった。
その後、阿部は水槽の入口から中を覗き込み佐久間へ呼びかけた。
💚「佐久間?ちょっといいかな?」
阿部に呼ばれ、佐久間はおずおずとやって来て水面に顔を出した。
🩷「なっ、なに?」
💚「住み心地はどう?なにか欲しいものとか足りないものとかがあれば教えて欲しいな。少しでもリラックスして過ごして欲しいんだ」
阿部は子供に尋ねるように優しく問いかけた。
しかし佐久間は控えめに首を振った。
🩷「……いらない。十分やってもらってる……」
水温も水質も完璧。砂やサンゴ礁もあり自分がいた海の環境に近い。そして水槽内の仕切りによりプライバシーも守られている。
それに加え、海の危険生物やNGLからの脅威にも怯えなくて良い。
これ以上ないほどの環境だ。
💚「ホントに?でも…今のままじゃつまんないんじゃない?」
小さい頃から『多くを望むこと』は両親から固く禁じられていた。ワガママを言えば叱られ、与えられたものは自分では望んでいなかった兄のお下がりだけ。
そして自分は1億で売られた化け物なのだ。追われている自分を匿ってもらい広い部屋に住まわせてもらっているだけで贅沢だ。
これ以上の要求をしてはいけない。
しかし、阿部は引かなかった。
💚「遠慮しなくていいんだよ。佐久間がここで快適に過ごすことは俺としても大切なことなんだよ。どんな小さな事でもいい。食べたいものとかでもなんでも」
真っ直ぐ見つめられた佐久間は数秒間沈黙したあと、消えそうなほど小さな声で呟いた。
🩷「…………アニメが…みたい…」
💚「アニメ?」
🩷「小さい頃よく見てたんだけど……習い事増やされて見る時間も減って、中学に上がる頃には見ることも禁止されちゃって……。ごめん、くだらないよね。やっぱ忘れて」
佐久間は諦めているように水底に戻ろうとしたが阿部の言葉で動きが止まる。
💚「くだらなくないよ。大切な思い出なんだね」
🩷「……」
💚「分かった。手配しよう」
────それからわずか1週間後
仕切りの内側、佐久間の部屋の水槽ガラスに防水、耐水加工のされたアクリルモニターが設置された。
更には多くのアニメが見られるように動画配信サービスのサブスクも複数契約。
専用の防水リモコンで自由に操作できるようになっていた。
🩷「ウソ……ホントに……?俺が使ってもいいの?」
💚「もちろんだよ。新作も、昔見ていた作品も見放題だからね」
🩷「あっ……ありがとう……!」
💚「どういたしまして、じゃあ俺は戻るね」
🩷「うん」
それから佐久間は毎日画面に張り付き、多くのアニメを楽しんだ。
色鮮やかな色彩と明るい音楽。様々な世界観のストーリー。何年もの間失っていた「好き」「楽しい」という感覚が胸に蘇っていくのを感じた。
そして、喜怒哀楽の感情も。
アニメを見て笑い、感動し、時には涙を流す。
素敵な作品に色々触れるうちに佐久間の表情も豊かになっていく。
💚「佐久間、最近は何を見てるの?」
🩷「ポケットアニマルってアニメ!可愛いポケマルがいっぱい出てくるんだ!」
💚「佐久間が楽しそうでよかった。俺も見てみようかな笑」
焦がれる希望をいとも簡単に叶えてくれた阿部に、佐久間の警戒心はどんどんほぐれていった。
阿部との会話も徐々に増え、佐久間は自分から話をすることも多くなった。
そして、大きな変化がもう1つ。
💚「この康二の中にある正体不明の因子を調べてるんだけど、他の患者のデータが無いから比較が出来なくてね。因子の構造や量に個体差がある可能性もあって……」
🧡「発症例が少ないとそういうとこがムズいんやなぁ……」
💚「いろいろな仮定をして調べていこうと思うよ」
阿部と向井が生態データを見つめてそんな話をしていた時だった。
🩷「……俺のデータでよければ……協力しようか……?」
💚「……えっ!?」
🧡「さっくん、ええん?」
🩷「せっかく人魚が2人いるんだから……全くデータ比較出来ないよりは良いかなって……」
💚「……っ!もちろんだよ。すごく助かる!ありがとう!」
阿部は嬉しそうに佐久間に笑いかけた。
佐久間はDNAや血液などの臨床データの提供、阿部からの生態に対する問いかけ、簡単な実験にも応じた。
水槽の入口で阿部は佐久間のデータを見ながら話す。
💚「ふむ……やっぱり康二と数値が大きく違う部分もあるね。調べる価値がありそうだね。本当に助かるよ」
🩷「俺、あべちゃんの役に立ててる…?」
💚「当たり前だよ。ありがとうね」
🩷「ねぇあべちゃん……1個、ワガママ言ってもいい……?」
💚「ん?なにかな?」
🩷「あ、頭……なでなでして欲しい…」
💚「頭?」
🩷「ごめんこんな子供みたいなこと言って!おやすみ……!」
💚「待って待って!……いいよ、おいで」
阿部は嫌な顔ひとつせず腕を広げた。
🩷「……いいの?」
💚「俺でよければ。かまわないよ」
佐久間は水槽から上がり、緊張したような面持ちで阿部のいる水槽の縁に腰掛けた。
阿部は佐久間の頭に手を置き、優しく撫でる。
💚「……よしよし 」
🩷「んぅ…っ。もうちょっと撫でて……? 」
💚「ふふっ、いいよ。いい子いい子」
🩷「俺…両親に頭撫でられたこと……なくて」
💚「うん」
🩷「褒められたこともなくて…抱きしめられたこともない」
💚「うん」
🩷「何も知らなかった。でも、俺を拾ってくれた時にあべちゃん、抱きしめてくれた。それがすっごくあったかくて…それで、えっと……」
💚「……ぎゅーはしなくてもいいの?」
🩷「えっ…」
💚「ハグってあったかいんだよ。研究によると、ストレス緩和の効果もある。長めにするとより効果的」
🩷「…いいの?」
💚「うん。ホラ、ぎゅ〜!」
佐久間は抱きしめられ、阿部の背中に腕を回す。
抱きしめられたまま頭も撫でられる。
阿部の鼓動を感じる。
阿部と初めて会った時のことを思い出す。温かいのは変わらないが、同時に安心感と形容できない感情があった。
🩷「……あべちゃん」
💚「ん?」
🩷「ありがとう」
💚「どういたしまして」
佐久間は頬をほんのりと赤く染め、口角を緩める。
胸の奥でアニメを見た時とは違う、くすぐったいような、とろけるような、ふわふわするような、そんな気持ちが芽生えているのを密かに感じたのだ。
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【PROFILE ¦ FILE.06】
🩷佐久間大介:人魚
家庭環境に恵まれずに育った元人間の人魚
NGLに追われている
阿部の事が気になる
コメント
8件
あぁ、尊い。めめこじもいいし🖤🧡あべさくもいいし💚🩷 まさに正義(ジャスティス)
あべさく推しの私歓喜✨💞

いや、もうほんとに最高です✨️ずっと続編待ってました!✨️今回の作品も神すぎません?!💕🥹1個前のめめこじもほんとに尊いしあべさくもすごく心温まってニヤニヤしてしまいます😏💖今後のお話もすっごく楽しみ✨️ラウちゃんもどうなるか気になりますね💕✨️