テラーノベル
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部屋に取り残された圭は、ソファーにドカッと身体を沈み込ませた。
美花が部屋を出て行く直前に言った『じゃあね。圭ちゃん』の挨拶に、彼の胸中がザラついていく。
美花が、自身の病気と過去の失恋の原因を打ち明けてくれた時、正直驚いた。
以前の圭だったら、美花をセフレとして関係を継続させていただろう。
だが、今の圭は違う。
美花を失う事が堪らなく不安になるほどに、彼女への想いで溢れていた。
ひまわりを咲かせたような、弾ける笑顔。
降り注ぐ音を身体いっぱいに浴びながら、ボイスレコーダーで旋律を歌う時の、歓喜に満ちた面差し。
『圭ちゃん』と彼を呼ぶ、柔らかくて丸みのある声。
そして、美花の裸体に刻まれた、過去の失恋を振り切るための、赤黒い傷跡。
彼女は彼の全て、と言っても過言ではないほど、圭は美花に惑溺していた。
しかし、圭は美花がまだ何かを隠しているような気がしてならない。
彼女と想いを通わせて三ヶ月ほどになるが、一緒にいて些細な揉め事があっても、最後は笑顔で『圭ちゃん』と呼んでくれていた。
それが今日は気まずさを残したまま、美花は『体調が悪いから』と帰宅。
まるで、圭から逃げるように。
(体調が悪い、というのは…………俺を避けるための口実なのではないか……?)
こんな別れ方をしたせいか、圭は変に勘ぐってしまう。
美花のメッセージを受信してから、ここに来るまでの間、およそ一時間近くあった。
その空白の時間帯に、彼女に異変が起きたのだと、圭は推測する。
「一体…………どうしたって……いうんだ……」
圭は、苦悶の表情を滲ませながら膝の上に肘を突き、頭を抱え込むと、肩を落としながら、大きくため息を吐いた。
視線を落とすと、美花が持参していた二つの紙袋が圭の視界に入る。
「美花の忘れ物か……?」
圭は、おずおずと手を伸ばす。
一つはメンズブランドのショップ袋、もう一つは淡いモーヴピンクの紙袋。
だが二つの紙袋は破損したのか、グシャグシャに折れ曲がり、足跡らしき物がたくさん付いている。
「これ……」
圭は、絶句しそうになりながら慌てて紙袋を掴むと、中を覗き込んだ。
恵
コメント
1件
元カノがやったのよ💢 本当に好きなら誠意を見せて。