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温もりを感じさせる、ピンク色のラッピングペーパーで包装された箱も、グシャリと潰されていたが、圭は丁寧に開封していく。
ダークブラウンの箱を開けると、歪な形のチョコレート。
「美花の…………手作りか……」
圭は、憂いを纏った表情を映しながら、溶け掛かったチョコレートを指先で摘むと、口に運んだ。
甘さとほろ苦さが口の中で広がり、舌の上で滑らかに溶けていく。
過去にも女から手作りのチョコレートをもらった事があるが、圭にとって、手作りのチョコレートは『女の執念』のような物を感じ、嫌悪していた。
しかし、愛おしい女から贈られたチョコレートは、彼には何物にも代えがたい宝のように思う。
チョコレートと一緒に、メッセージカードも添えられていたが、折れ曲がったカードを開くと、美花の直筆で『圭ちゃん、私に“たくさんの初めて”を与えてくれてありがとう。大好き!』と書かれてあり、圭の視界は微かに揺れ動いた。
彼は、チョコレートと一緒に添えられたブランドのショップ袋に入っていた箱を取り出した。
それは、圭が若かりし頃に好きだったメンズブランド。
「今の俺に…………似合うかな……」
独りごちながら、潰された正方形の箱の包装紙を、ゆっくりと開封していき、箱の蓋を開く。
「…………ネクタイか……」
淡いグレーとクリーム色の細かい市松模様のネクタイ。
破損する前は、綺麗に巻かれた状態で入っていたのだろうが、無惨にも潰されている。
「この色合いだったら、どの色のスーツにも合わせやすい。美花は…………センスがいいな……」
気付くと、微笑みつつ、鼻の奥がツンと痛くなっている圭。
恐らく美花は、異性に何かを贈るのは彼が初めてなのだろう。
圭の事を思いながらネクタイを選び、辿々しい手つきで、チョコレートを作っている美花の事を思うと、彼の視界は滲み、瞳の奥がピリピリと熱くなっていくのを感じた。
物だけでなく、彼の手に渡るまでの時間もプレゼントなのだ、と思うと、涼しげな瞳に雫が溜まっていく。
圭は、ネクタイのノットを強く引き下げて外し、スーツの上着のポケットにねじ込んだ。
美花が贈ってくれたネクタイを箱から取り出すと、タグを外し、手早く締めていく。
「どんなチョコよりも……君が作ってくれたチョコが…………一番うまい……」
愛おしい美花を想いながら、圭は、残りのチョコレートを噛み締めるように味わい続けた。
***
恵