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俺とレイチェルはクレイン北西部にあるアルヴィアン邸にある執務室の椅子に腰掛けて話をする。南向きよ大きな窓からは本来は光が差し込むがあいにく今日は曇りだ。

「現騎士団長の解任やアラン騎士団長の任命には侯爵以上の貴族の過半数の合意が必要だ。つまりアルヴィアン家を除いて10の家から合意をとりつける必要がある。」

俺はカミツレ茶を飲み干してからそう告げる。

「ジョー、方法はあるのかしら?」 

彼女の前にはイチゴの香りがつけられた紅茶がある。今も昔も彼女のお気に入りだ。

「もちろんだ、まずアルヴィアンと歴史的に友好関係にある辺境伯には説得して賛成してもらう。そしてアルヴィアンや他から融資を受けている債務が増加傾向にある貴族たちには債務支払いの猶予や新規貸付を提案。これで9票だ。そしてあの1票はキャベンディッシュ公爵家から獲得しよう。」

「文官を輩出してきたキャベンディッシュ公爵家が、伯爵家からの選出について賛成するかしら?」

彼女の疑問はもっともだろう。だが俺は知っている。人間を動かすのは薄暗い感情であるということを。

元引きこもり侯爵子息のダークサイド物語

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