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「ふぅ。お腹いっぱい♪。こんなに食べたの久し振りかも。」
「こうゆう時だからこそしっかり食べないとな?。それに、すずめが料理上手で助かったし。…モグモグモグモグ…。あ、残りは俺が食べるよ…」
「うふふふふっ。お褒めに預かり光栄でぇす♪。…あら?まだ9時なのねぇ。色々あったのに時間の流れが凄く遅く感じるわ。…少し眠いし…」
「もぐもぐもぐ。こくん。…こんな卒業式いらないなぁ。一生忘れないけど。…ごちそうさまでした。美味しかったよすずめ、お陰で落ち着いた。」
七月すずめに協力してもらい、売り場側に向いた磨りガラスの窓を全て塞いだ。光が漏れていないことを確認して灯りを点ける。こんなにも文明の利器がありがたいと思ったのは初めてではなかろうか?。眼が痛かった。
そして彼女の指示に従って冷蔵庫から食材を運んだ。確かに二人なら、月単位でも食べ切れないほど食材のストックが大型な冷蔵庫の中に詰め込まれている。冷凍庫の中も覗いてみたのたが、食材が整理整頓されていた。
「お粗末様でした。…レオ君、ちょっと疲れてない?。…ん〜横になって休めればいいんだけど、流石にダンボールだけだと痛いわよねぇ?」
「そう言えば隣の事務所はまだ調べてないな。それと左側のベージュ色な扉は開けない方がいい。従業員の駐車場に直接つながっているんだよ。あそこはアイツラがうろうろしてるから、もし見つかったら一大事だし…」
「ん。解ったわ。…あれれ?もう売り場を調べに行くの?」
「うん。取り敢えず一番長い包丁を持ったから大丈夫。それと、俺が出たら鍵を閉めてくれ。…俺のせいですずめまで怪我しなくていいからさ?」
「………レオくん。(その『俺が守ってやる!』的な眼つき…大好き♡)」
外の状況を見てから、どうも頭が働かない。人間を喰う得体の知れない化物が、この駅ビルだけではなく市街にまで溢れかえっているとゆう現実。その被害範囲によっては、外部からの救出などまったく期待できない。
そして、もし戦うことになっても勝てるかどうか解らない怪物が相手だ。確実に倒せる方法でもあれば話しは別だが、負ければ確実に殺されるし、遺体を犯され喰い荒らされれば、人としての尊厳さえも奪われてしまう。
そんな悲惨な目に遭うのは俺だけでいい。今も眼の前でニコニコと笑ってくれている七月すずめだけはそんな目にあわせたくない。しかし建物の裏手になる駐車場まで占拠されていては、脱出するにも余りにリスクが大きい。せめて奴等を倒せれば突破口も開けるはずなのに。何か手はないか?
「おはようございまぁす。すぐにフライヤー点けます……ね?。…え?。」
「ん?。(…女の子?。……従業員さん…だよな?。………あれ?)」
「………え?。(…だれ?。ここの人…よね?。…まさか、何も知らない?)」
俺がドアノブに手をかけると、事務所と書かれた札が貼られている水色の鉄扉が突然に開かれた。そこに立っていたのは白い割烹着を着た女性だ。なぜか見つめ合ったままで次の言葉が出てこない。確かな生存者なのに…
「……え?。…あれ?。……えっと。……まさか…獅子《れお》くん?」
「…愛夜《あや》ねぇちゃん…だよな?。…に、二年ぶり。元気してた?」
「え?。…この人知り合いなの?レオくん。…お姉さんって?」
赤黒い髪を纏め上げて白い頭巾を被り、マスクを着けているのだが、際立つ紅い瞳は間違いようがない。俺が一番会いたかった人が眼の前にいる。とゆうのに、あまりに驚きが大きくて、俺はどうして良いのか分からなくなってしまった。それは向こうも同じみたいで…眼を真ん丸にしている。
「れ!れお君っ!れお君!れお君!れおくーんっ♡。んぶちゅっうう♡」
「んんっ!?むぐっ?。んちゅ…れるれろ。…ちゅ。ふぅ。相変わらず情熱的だなぁ愛夜ねぇは。…なんだか綺麗になったね?。会いたかったよ。」
「あたしだって会いたかったわよぉ♡。んちゅう♡むちゅっ♡ちゅく♡」
「んむっ?。んん…ん。んちゅ。ふぅ。ん…ちゅぱ。…ちゅむちゅ…」
「!!!?。(いっ!いきなりのキスっ!?しかも凄くエッチな方の!)」
久し振りに見た義理の姉は相変わらずエロい。固まっていたのも束の間、彼女は頭巾とマスクを剥ぎ取るといきなり飛び付いてくる。有無を言わさず重ねられた義姉の唇は、あの頃のまま柔らかく甘かった。むにっと押し付けられる高反発な美乳と絡められた細い脚。久々の抱擁も素敵だった。しかしこのままでは俺の理性が崩壊しそうだ。とにかく離れなければ…
「ごめんねぇ?急にいなくなって。チュッ♡チュッ♡。ん〜♡獅子くんの匂い癒やし〜♡。って?どうしてここに?。まさかアルバイトするの?」
「いや、それが。ちゅ。…俺にも理解できないことが起こっててさ?」
「………。(なになに!?このキス魔はっ!?レオくんになんてコトを!」
俺はここまで来た経緯を義理の姉である『東雲愛夜《シノノメ・アヤ》』に簡単に説明する。突如として現れた人型な黒い影が、問答無用に人間を襲い、犯し、喰らい、殺しているとゆう事実と、その影は建物の外にも徘徊しているとゆう現状。そして、この調理場も安全ではないとゆう事を。
「ん〜。いきなり降って湧いた化物かぁ。しかも人間の、老若男女を問わずに襲い、犯して食べる。…と、なると考えられるのはひとつだけねぇ…」
「いやいや普通は考えられないでしょ?。…でも愛夜には心当たりが?」
「うん。とは言っても確証はないわよ?。ん〜ちゅ♡。…昔むかしの物語だからとっても眉唾ものなのよねぇ。だけど…その古文書に記された場所や遺跡は確かに遺されているし…全くの作り話とも言い切れないのよ。」
丸椅子に腰を下ろした俺の膝に乗ったまま、首を抱いている義姉が思い当たった事柄を口にした。むにっと弾力に富んだお尻の感触が懐かしい。少し離れて丸椅子に座っているすずめの目つきがちょっと怖かった。もしかして俺に怒っているのか?。俺たち姉弟としては日常なのだが…慎むか。
「わたしは直接的に知らないけどぉ、そこの彼女なら知ってるかもね?。この地の鎮守である獅子丸大社の巫女だから。…どお?七月すずめさん。わたし大学で民俗学を研究してるの。貴女とそのご実家は〜超有名よ?」
「あ?あたしですかぁ?。あたしだって知りませんよぉ。でも仮に、あの黒い化物が『瘴気蟲《しょうきちゅう》』だとすれば、何かしらの手掛かりが実家の蔵にあるかも知れません。…人の業に誘われる異形の穢です…」
愛夜の問いかけに真顔で応えたすずめ。姉の言う事を裏付けする反応だ。しかし鎮守とはどうゆう事だろう?確かに神社とゆうものには必ず何らかの神が奉られている。それは歴史に名を刻んだ偉人だったり、名を馳せた武将だったり、統一を勝ち取った支配者たちだったりだ。中には山岳崇拝や太陽崇拝の様な自然に信心する物もあるが……鎮守と言ってもアテには…
「ショウキチュウ?蟲なのか。…すずめ、それはどこから来るんだ?」
「昔から言われているわ。災は鬼門から訪れるの。それよりもレオ君?。お姉さんとのキスは気持ち良かった?。(舌まで入れちゃって。何よ!。そのうえ膝に乗せてるし!。あたしが抱きついた時は冷たかったのに…)」
「え?。なんですずめが怒るんだよ?。まぁ基本的に人前じゃしないけど二年ぶりの再会だったし。でも…もしもすずめの気に障ったなら謝るよ…」
「もう!。アタシは謝って欲しいんじゃなくて!?。(あたしのこと可愛いって言ったくせに!さっきまで肩寄せあって話してたのに!エロ綺麗な義姉さんが現れた途端に離れちゃうわけ?。あたしにもキスしなさい!」
「しっ!。………れお君、ホールの方に何匹かいるみたいね?」
すべての窓を段ボールで塞いでいて外の様子は伺えないが、扉の外に何かしらが近づいた気配は確かに感じる。『ウウウ…』と聞こえる低い唸りも間違いなくあの細長い黒影だ。…俺がひとりで排除できるモノなら何とかしたいところだが、見てきた惨劇から気が重くなる。でもこのままでは…
「ああ。通路に向いたシャッターも、全部閉まっているのか不安だから見て来ようと思ってたんだよ。…だけどアレを倒せるのかは…自信がない。」
「れお君なら大丈夫よ♡。あのゴリラみたいなパパさんだって殴り飛ばしたんでしょう?。お姉ちゃんから聞いているわ♪。凄いじゃない♡」
「オヤジは人間だからな。殴れば倒せるさ。でもアイツラは訳が違う。ひとつ間違えば確実に殺されるだろうし。(人間同士の手合わせみたいにはいかないよ。それでもこのままじゃ…いずれ押し入って来られるよな…)」
「しっかりしなさい、獅子。実体のある相手なら、殴る事も蹴ることだってできるわ。…キミはその辺の弱い子じゃないの。アタシたちを護ってみせなさい!。ちゃあんと帰ってきたらぁ〜生で入れさせてあげるから♡」
「!?。そっ…そうゆう事を…すずめの前で言わないでくれ、リン姉ぇ。取り敢えず店の方に出てみるよ。俺が出たらドアの鍵を閉めてくれ。それと…万が一の時はすずめの事を頼む。家に帰してやってくれ。それじゃ…」
「りょ〜か〜い♪。…れお君?。ここで待ってるからね?。戻ってよ?」
「ああ…最大限で頑張るよ。死にたくないからな?。(決してリン姉ぇとセックスしたいからじゃないからな!?。そりゃ…してはみたいけど…)」
少し、いや、かなり話しが歪んできたので俺は覚悟を決める。どうしたって守れなければ彼女たちも巻き添えになるのだ。喰われながら犯されていた被害者たちの話が、俺の心臓を締め付ける。ここでは絶対に死ねない…何としても生きて戻るのだ。俺は両手に牛刀を握って、扉を肩で押した。
「あの。な…生で入れさせるって。リンさん。まさかレオくんと…エッチするって言ってます?。仮にも姉と弟なんですよね?。いいんですか? 」
「良いも悪いもないわ。血も繋がってないのに。それに獅子君には命懸けで闘ってもらうんだからご褒美くらいは奮発しないとでしょ?。もっともアタシの夢が叶うんだけどね?。あ〜♪。すずめちゃんはどうするの?」
「そっ!そんな。…わたしまだ18ですよ?。いくら何でも早いです!。でも…レオくんがどうしてもって言うなら。…許さなくも…ないかも…」
「そうよねぇ。いつも飄々としてるけどぉ、よく見るとイケメンだし♡。背も大きくて足も長い♪。しかも今どき黒髪なのもポイント高いのよね♡時々コワイ目つきになるけど、慣れてくるとゾクゾクきちゃうのよ〜♪。いい匂いだし〜お肌もスベスベ♡。あ、獅子君って脱ぐとスゴイのよ?」
この女は危険だ。わたしが考えているよりも遥かに真剣に、ヤツカド・レオの貞操を狙っている。普通ならひとつ屋根で暮らしている弟に性欲なんて向けたりしない。たとえ血が繋がっていなくとも姉弟の自覚があるなら手を出そうなんて思えない筈なのに。…って。わたしのアタマが硬いの?
「リンさんって…美女系の痴女なんですか?。それとも変態さん?。義弟のレオくんを…性の対象にしか見ていないように聞こえるんですけど。」
「そうねぇ…小さい頃から大好きだもん♪。獅子君が求めてくれるなら何だってできちゃうわよ♡。でもやり過ぎちゃって家を追い出されちゃったのよね?。…二年前。どうしても彼を抱きたくなったのよ。処女なのに…」
「!!?。…思っていたより不潔なんですね?リンさんって。わたしにはよく分からない感性です。…そんなに性欲を満たしたいなら…レオくんじゃ無くてもいいんじゃないんですか?。…リンさん、凄くモテそうだし…」
「すずめちゃんって見た目は凄く可愛いのに意外とイジワルなのねぇ?。な〜んて♪。好きな男の話でもしていれば不安じゃなくなるでしょ?お互いに♪。…もしも獅子くんが戻らなかったら…裏の窓から逃げるわよ?。アタシの車は駐車場の奥にあるの。袴で塀の上を歩くけど大丈夫よね?」
いきなり真面目な顔になったから何を言い出すのかと思えば、今度は愛している弟を見捨てる気?。確かにわたしは獅子くんがどこまで強いのとか分からない。腕の先に付いたあの長い指で人間を突き刺して、簡単に殺せる化け物を相手にどれだけ戦えるのだろう?。負ければ即死。戦っている最中でもいつ刺されるのか解らない。そもそも人間が戦える相手なの!?
「え?あ。でもそれって…レオくんを裏切ることになるんじゃ…」
「アタシ、彼が戻らなかったらって言ったわよ?。あくまで最終手段だからそのつもりでいて。ココよりも…外の方が危険かも知れないけど、無駄に殺されるくらいなら逃げ出せる方に賭けるわ。獅子君との約束だし…」
「リンさん。(どスケベなのに…真剣な顔すると綺麗なのよね。この人…)」
不純でスケベな義理の姉としても、そして彼専用のエッチなラブドールとしても、溺愛してやまない八門獅子のお願いは絶対なのだ。それはアタシの命よりも、そして処女よりも遥かに重みがある。最愛の男から護れと言われれば是非もなく守るのが東雲鈴なのだ。これでも護身術程度は心得ているので相手が普通の人間ならば何も問題は無い。人間ならば…だけど。