「送ってあげられなくてごめん」
デートまでの期間に死に物狂いで書き上げた原稿を突きつけて、荒ぶる小林さんをなんとか鎮めることに成功した涼の謝罪に、私は大きく首を横に振った。
「ううん、気にしないで。ほら早く行かないとまた小林さんに怒られるよ?」
涼の書いた原稿をチェックしながらブツブツと呟く小林さんをリビングに置いて、玄関まで見送ってくれる涼に言うと「あのお邪魔虫め」と小学生のような毒を吐く。でもやらなければならないことという自覚はあるのか、すぐに諦めがついたのか柔らかい笑みを私に向ける。
「また連絡する」
お別れの前のカウントダウンのような常套句に、私もまた笑みを浮かべて返すけど、本音を言うと少しだけ名残惜しい。
ワガママを言って困らせたいわけじゃないけど、このままサヨナラは寂しいなんて矛盾をどう言葉にしていいかも分からないし、甘え下手な私に出来る事と**********************
*********************
******************
*****************
*******************
********
**************
********************
コメント
1件