コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
外は、クッキリとしたスカイブルー、眼下は白銀に染まり、目に鮮やかな青と眩い白のコントラストが美しい。
ベランダに出ると、純が恵菜の背後から優しく抱きしめ、細い首筋に顔を寄せた。
降り積もった雪に陽光が反射し、キラキラと輝きを放っている。
二人は黙ったまま、青と白の光景を見つめ続けた。
「…………こういう、何気ない風景が綺麗に感じるのは、きっと…………隣に純さんがいてくれるから……かな……」
恵菜が零した独り言に、純は瞠目しながら、なおも華奢な身体を抱き寄せる。
「俺も…………恵菜と同じ事を考えてた。二人で一緒にいると、何でもない事が、特別に感じる」
彼は彼女の身体を向かい合わせ、抱き竦めた。
こんな思いを抱くのは、もちろん恵菜が初めてであり、何気ない時間が特別なものに変わっていくのかと思うと、純の気持ちが高鳴っていく。
彼は、筋張った腕の中にいる彼女の頭を、慈しむ気持ちで何度も撫で続けた。
とはいえ、外の空気は刺すような寒さ。
「さすがに冷えるな。部屋に入ろう」
恵菜の手を引き、ガラス戸を開けると、純はリビングに彼女を引き寄せた。
***
ソファーに腰を下ろし、昨晩、コンビニエンスストアで購入したおにぎりなどを、二人で軽く食事した。
「さて、今日はどう過ごそうか。恵菜は行きたい場所とかある?」
「行きたい場所…………う〜ん……」
突然、純に話を振られた恵菜は、逡巡しているのか、遠くに視線を向ける。
「特にないんだったら、俺の部屋でマッタリしてもいいし」
彼が彼女の肩を抱き寄せ、色白で陶器のような頬に唇を寄せた。
だが、彼女の面差しは、どことなく迷っているように見える。
何かを言いあぐねているのだろうか。
「……あの…………私、帰ります」
恵菜は、唇をゆっくりと開き、ポツリと小さく呟いた。
「へ!? 帰るの…………?」
考えもしなかった恵菜のセリフに、純はポカンとした表情をさせて固まってしまった。