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ラウールはとある事が気になっていた。
🤍「あべちゃん」
💚「うん?」
🤍「舘さんとしょっぴーってさお揃いの懐中時計持ってない?」
💚「あぁー…あれね」
🤍「仲良いよねあの2人!ほら、ふっかさんと岩本くんが表で仲悪いふりしてるけどあの2人はそんなこともないよね?」
💚「見た目は懐中時計だけどね。中身は時計じゃないんだよ」
🤍「えっ!?なになに?」
💚「あの2人はね〜…尊いんだよ…」
🤍「あ…あべちゃん?」
────────────
宮舘と渡辺はホグワーツに入る前からの幼馴染だ。
ホグワーツ入学式当日も向かう列車の中で隣に座ってワクワクしていた。
💙「入学してすぐ寮が決まるんだぜ!」
❤️「組み分け帽子!被れば寮が決まるんだよね」
2人はずっと一緒だった。生まれた病院が一緒で親同士も仲がいい。更には両親もホグワーツの出身だ。
渡辺と宮舘は同じ寮になれると信じきっていた。
入学したらどんな授業があるんだろう。どんな魔法が使えるようになるんだろう。
そういった楽しみと少しの緊張で胸いっぱいだった。
ホグワーツに到着し、大広間へ案内され新入生はゾロゾロと歩いていく。大きな扉がガチャッと開くとそこには在籍している先輩たちが全員座り、拍手で出迎えてくれた。
赤のグリフィンドール
青のレイブンクロー
黄色のハッフルパフ
緑のスリザリン
この中のどれかの寮に入る。
マクゴナガル校長が新入生の名前を1人ずつ呼び、『組み分け帽子』を被せる。
そこで組み分け帽子が叫ぶ寮へ入ることがきまる。
順番に呼ばれ、どんどん配属の寮が決まっていく。
いつ自分の番が来るんだろうと渡辺も宮舘もソワソワしながら笑いあっていた。
マ「リョウタ・ミヤダテ」
❤️「…!」
先に宮舘が呼ばれた。
全員が注目する中椅子に座り、校長が帽子を被せた。
組み分け帽子はしばらく考えたあと
────グリフィンドール!
グリフィンドールの先輩たちが新しい後輩に拍手を贈り大喜びする。
宮舘は渡辺と目を合わせ微笑みながらグリフィンドールのテーブルへと案内された。
そのしばらく数人後、渡辺が呼ばれた。
マ「ショウタ・ワタナベ」
💙「はい」
緊張ある面持ちで椅子に座り、ゆっくり帽子を被せられる。グリフィンドールのテーブルに座る宮舘と目が合う。2人で同じ寮に入って一流を目指そうとずっと話していた。
自分もきっとグリフィンドールに…と思っていた。
────スリザリン!
💙「……えっ」
でも選ばれた寮は違った。
宮舘も驚いた顔をし呆然と渡辺を見ていた。
💙「やだ!俺もグリフィンドールがいい!涼太と一緒じゃなきゃやだ!!」
マ「1度決まった寮は変えられません。これはこの学校でのルールです」
💙「涼太と一緒がいい!スリザリンやだァ!!」
マ「Mr.渡辺。席に着きなさい」
マクゴナガル校長がピシャリと言い、他の教授に連れられスリザリンのテーブルへ座らされる渡辺。
💙「そんな…なんで…」
❤️「翔太…」
そんな事があった入学式。2人にとっては若干苦いスタートになった。
────
とは言え寮は違えど空き時間や休日は自由だ。
授業が合同だと席も自由。
渡辺と宮舘は空き時間も夕食後から消灯までの間もよく一緒に過ごしていた。
💙「こないだ呪文術 でさ、深澤が爆発させて髪の毛が全部逆立ってライオンみたいになってた笑」
❤️「翔太この間飛行術で箒から滑り落ちたって聞いたけど?笑」
💙「あれはたまたまだし!いつもはあんなんで落ちたりしないもん」
❤️「じゃあまたあとでね。一緒にカードゲームしよ」
図書館の自習も中庭での遊びも一緒。
双子のように隣合っていたが、それをよく思わない人達がいた。
☆「おい、宮舘」
❤️「はい?」
廊下で1人になった宮舘の前に立ちはだかったのは複数人の上級生。
☆「さっき一緒にいたの、スリザリンの渡辺だろ」
❤️「そうですけど…」
☆「いいか、スリザリンのヤツらの気安く絡むな。アイツらは信用出来ない」
❤️「え?なんでですか?」
☆「いいか、スリザリンってのはなずる賢い悪知恵の働くヤツらなんだよ。いつか絶対嵌められるぞ」
❤️「翔太はそんな事しないです」
☆「あ?先輩に楯突くってか?」
❤️「……っ…」
それは渡辺も一緒だった。
スリザリンの談話室で1人でいた時、ソファの両サイドに渡辺を挟み込むように2人の上級生が座った。
💙「…?な、なんですか…?」
☪︎「渡辺く〜ん?君ってさ、グリフィンドールの子とよく一緒にいるよね」
💙「涼太のことですか?」
✧︎「そーそ。言っとくけど、グリフィンドールのヤツらとは馴れ合わない方がいいよ」
💙「なんでですか」
✧︎「アイツらは野蛮で無鉄砲だ。正義とか、勇敢とか笑 そんな言葉振りかざしておいて簡単に手をあげるような連中だ」
💙「涼太は野蛮でも無鉄砲でもないです。先輩たちが決めないでください」
そう言って立ち去ろうとしたが、先輩が声を荒らげた。
☪︎「いいのかなぁ〜そんなこと言って!」
✧︎「俺らは困んないけどね? お好きなようにグリフィンドールにでも行けば?」
☪︎「ただ、ここには君の居場所はなくなるけどね? 立場悪くなっちゃうよ?」
💙「……っ!」
まだ1年生で入学して数ヶ月。魔法の技量も体格も圧倒的に上の上級生からの圧に2人は黙ることしか出来なかった。
そして話す時間も、2人で会う時間さえもなくなった。
すれ違った時、大広間での食事の時、合同授業の時、そんな日常の何気ない瞬間にチラッと目を合わす程度しか出来なくなった。
それから数ヶ月経った頃だった。
廊下で渡辺とすれ違った時に宮舘が小さな紙切れを渡辺のローブのポケットに入れた。
💙「……?涼太…?」
折りたたまれた紙切れを開くと短くメモが書かれてあった。
────『22:00 植物園の裏』
その日の夜、消灯時間である21時も過ぎた。
渡辺は寮をひっそりと抜け出した。パジャマにローブを羽織り、フードも被る。
教授や見回り担当の監督生に見つからないように。足音を立てないように。学校の廊下を駆けていく。
外へ出て植物園の裏側。
そこには渡辺と同じくローブで顔を隠して座り込む影があった。
💙「……涼太!」
❤️「翔太!」
宮舘だ。渡辺は宮舘の隣に座り バレないように小声で話す。
💙「どした?急に呼び出して」
❤️「先輩らにスリザリンと話すなって言われた」
💙「俺も言われた。グリフィンドールは野蛮だって」
❤️「だったらバレなきゃいいんだよ」
💙「…ハハハッ大胆だな笑」
❤️「来てくれて嬉しい」
💙「俺らは俺らなりに抵抗してやろうぜ」
それから2人は消灯後の夜中に寮を抜け出して待ち合わせるようになった。
見つからないように毎回集合場所も時間も変えた。
❤️「今日照がさ───」
💙「アイツどんどんムキムキになってね?笑
3年後にはボディビルダーみたいになってたりして」
遊び回ることは出来ないがこうして話をするだけでも落ち着く。会うまでの間で「今度これの話をしよう」と話題の種を増やすのが楽しくなった。
────────
しかし、そんな無茶も長くは続くはずもなく。
とある日の空き教室、いつも通り宮舘と渡辺は集合して他愛もない世間話をしていた。
❤️「今度の休日に照と飛行の練習するんだ」
💙「俺薬学の調合が楽しくてさ。部屋借りて自主すんだ」
その時だった。
?「おい、そこ。居るのは分かってるぞ」
❤️💙「っ…!!」
ガチャッ
誰かの声が瞬間、空き教室のドアが開かれ1人の男が入ってきた。
手に持つランタンで顔が明るく照らされ、その人物が見回りの監督生であることがすぐに分かった。
💙「ゾ…ゾラ先輩…」
レイブンクロー7年生 監督生
ゾラ・バンクシーだった。
渡辺はゾラの名前が珍しく、たまたま覚えていた。
ゾ「僕のこと知ってるんだね」
ゾ「夜間外出。スリザリン、グリフィンドールそれぞれ20点の減点だ」
❤️「す、すみません…」
ゾ「君らもわかってるだろう。21時を過ぎたら外へ出るのは校則違反だ。談話は日中にやるように」
💙「………」
ゾ「分かったら戻りなさい」
ゾラは淡々と告げた。しかし、渡辺も宮舘も納得いかなかった。
💙「……こうしなきゃいけないような環境を作ってる先輩たちがいけないんじゃないですか」
ゾ「………」
💙「俺たちはただ一緒にいたいだけなのに。先輩らがグリフィンドールと話すなって圧をかけるからこんなことしなきゃいけないんです」
渡辺が思わず本音をこぼした。
宮舘もその隣で静かに頷きゾラを見つめる。
するとゾラは持っていたランタンを机に置き、椅子にゆっくり座り話し出した。
ゾ「君たち。グリフィンドールとスリザリンがなんで仲が悪いのか知ってる?」
💙「……いいえ」
ゾ「寮の創立者。ゴドリック・グリフィンドールとサラザール・スリザリン」
ゾ「この2人は元々は親友同士だった。しかし、教育方針の違いが原因で対立。最終的には2人は絶交し生涯の決裂をした」
❤️「それが…?」
ゾ「教育方針の違う寮へそれぞれ生徒が集まれば、もちろんその生徒同士も価値観や馬が合わない」
ゾ「つまり、グリフィンドールとスリザリンは寮の創立の時から仲が最悪ってこと。創立者の因縁が今も伝統として1000年以上、生徒たちに引き継がれている」
💙「1000年前からの不仲…?」
ゾ「君らの言いたいことも分かる。もちろん全ての生徒が仲悪くする必要はないとおもう。それでも…子供のワガママで覆せるほど、この学校の歴史は浅くないんだ」
❤️「暗黙のルールってことですか…」
ゾ「言ってしまえばそうなるね」
💙「………納得いきません」
ゾ「仕方ないことだ。とにかく、今日はもう帰りなさい。寮まで送る」
その日はゾラに連れられ宮舘と渡辺は寮へ戻った。
それからまた話せない日常に逆戻りになった。
.*·.⟡┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⟡.·*.
あとがき
読まなくても️⭕️
◇組み分け
どの寮に入るのかはホグワーツに入学してすぐ組み分け帽子によって決まります。
組み分け帽子を被った生徒の性格や本質を見抜き、適した寮へと振り分けられます。
◇グリフィンドールとスリザリン
本編中でも書きましたが、グリフィンドール🟥とスリザリン🟩は創立者の因縁のせいで1000年以上の不仲が続いています。
具体的にいうと寮を創立する時の『どのような生徒を迎え入れるか』の意見の食い違いです。
🟥グリフィンドール
血筋なんて関係ない。魔法の素質と志があるなら誰でも受け入れるべき。
重んじるもの:勇気、正義感
🟩スリザリン
魔法族の血筋(純血)だけを教育すべきだ。マグル生まれは入れるな。
重んじるもの:野心、狡猾さ
この違いが原因で大喧嘩。スリザリンが純血主義者が多いのはこの為です。
対立の末、スリザリンがホグワーツを去り2人は和解もしないまま決裂。これが寮の対立の原点です。
この方針の違う寮へそれぞれ適した生徒たちが集まれば当たり前に価値観の合わないです。
この2寮の創立から1000年以上の不仲はもはや伝統のひとつになっています。そんな環境だから岩本さんと深澤さんも裏でしかイチャつけないんです。
ちなみにレイブンクロー🟦とハッフルパフ🟨はというと、大不仲の2寮からは少し距離を置き、中立的な立場になることが多いようです。
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