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幼馴染の愛は素敵すぎる! 続き待ってます

「……んぅ……、はぁ……っ」
重苦しい熱気が支配する寝室。
ベッドの上、羽毛布団にくるまって小さく震えているのは渡辺翔太だ。
季節の変わり目、連日のハードワークが祟ったのか、39度近い高熱にうなされていた。
「翔太、入るよ」
静かなノック音と共に、宮舘涼太が部屋に入ってくる。
その手には、新しい冷却シートとスポーツドリンク、そしてゼリー飲料。
宮舘はベッドサイドに膝をつくと、まるでお姫様でも扱うかのような手つきで、渡辺の額に張り付いたぬるいシートを剥がした。
「……んんっ、やだ……さむい……」
「ごめんね、一瞬だけ。すぐ気持ちよくなるから」
嫌がって首を振る渡辺を、宮舘は低い声でなだめる。
新しいシートを貼ると、渡辺は「ふぅ……」と安堵の吐息を漏らし、うっすらと目を開けた。
潤んだ瞳が、不安そうに宮舘を捉える。
「……りょう、た……」
「ん? ここにいるよ」
「……帰んない、で……」
高熱のせいで理性が溶けているのだろう。
普段なら絶対に口にしない、甘えた言葉がぽろぽろと溢れ出す。
渡辺の手が布団から這い出し、宮舘のカーディガンの裾を弱々しく、けれど必死に握りしめた。
その姿を見た宮舘の瞳が、どうしようもない愛おしさで揺らぐ。
「帰らないよ。翔太が元気になるまで、一歩も動かない」
「……ほんと?」
「ああ。……生まれた時からずっと一緒だろ? 俺がお前を置いていくわけない」
宮舘は渡辺の手を優しく包み込むと、その熱い手の甲に、祈るように唇を寄せた。
「……のど、かわいた……」
「よし、飲もうか。……起き上がれるかい? いや、俺が支える」
宮舘は慣れた手つきで渡辺の上半身を抱き起こし、自身の広い胸に預けた。
背中に感じる宮舘の体温と、包み込まれる安心感。
渡辺は赤ん坊のように宮舘に体重を預け、口元に運ばれたストローから水分を啜る。
「偉いね、翔太。よく飲めた」
飲み終わると、宮舘は渡辺を再びゆっくりと寝かせ、汗で張り付いた前髪を指で梳いた。
その指先が優しすぎて、渡辺の目から生理的な涙がひと筋こぼれる。
「……なんか、しんどい……」
「うん、辛いね。代わってあげたいよ」
「……りょうたの手、つめたい……きもちい……」
「そう。じゃあ、こうしていよう」
宮舘は大きな掌で、渡辺の熱い頬と耳を包み込むように触れ続ける。
ひんやりとした感触と、何より「涼太が触れてくれている」という事実が、渡辺の不安を溶かしていく。
「……ねぇ」
「なぁに」
「……俺、りょうたがいないと、だめかも……」
朦朧とした意識の中で紡がれた、あまりに無防備な本音。
宮舘は一瞬息を呑み、それから聖母のような、あるいは全てを独占する王のような、深く重い微笑みを浮かべた。
「知ってるよ」
宮舘は顔を寄せ、渡辺の耳元で甘く囁く。
「俺も、翔太がいない世界なんて息ができないのと同じだから。……安心して眠りな。夢の中でも守ってあげる」
「……ん……おやすみ、りょうた……」
「おやすみ。愛しい俺の幼馴染」
繋いだ手は決して離さない。
熱に浮かされる渡辺が深い眠りに落ちるまで、宮舘はずっとその寝顔を見つめ続けていた。
その視線は、どんな薬よりも甘く、重く、彼を癒やしていくのだった。