「今日、どんな服を着ていけばいいのかわからなかった」
滑り出した声が着地点を求めて流れゆく。
「気合い入れてるなんて思われたら羞恥で爆発しそうだし、かといって、いつもと同じじゃ意味がないんでしょ?」
囁くような声が、目の前を通ってゆく。
「でも、素直にデート服を選べる程、若くないの、もう。……だからせめて、身に着けたらそれだけで気分が上がる、まるで、あんたみたいな魔法のネックレスを――」
いつものように無意識に吐露した彼女が放った単語に、耳を疑う。
聞き流してあげるつもりだったのに、思わず拾って応えた。
「俺は魔法なのか?」
「…………ん?」
怪訝な表情で俺を見上げた彼女に、ふ、と口元が緩んだ。
「だから、お前は全部口に出てるんだって」
ようやく教えてやると、じわじわ理解した彼女が、勢いよく口元を手の平で覆った。
動揺が手に取るようにわかって、その仕草*********************
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