アンナ先輩は魔皮紙に魔力を通すと魔皮紙は燃えて消えていった。
「よし、これでいいわね、後は待つだけよ」
「助けって?」
「マスターから“もしも何かあった時”の魔皮紙を貰ってたのよ、奴隷を買うときに奴隷商から予め何枚か奴隷と一緒に渡されてるのよ、さっきの魔皮紙はたぶんあんたの所の奴隷商の魔皮紙ね」
なるほど、確かに力のない貴族が俺たち奴隷を買っていきなり奴隷を誘拐された!とかなったら洒落にならないだろうからな……
「ちなみに使ったことはあるんですか?」
「あるわけないじゃない、奴隷になって外出た事ないんだから」
「ど、どうなるんだろ」
「ま、あんたがここに居る限り絶対に助けは来るわね」
「どうして?」
「あんた、億超えの奴隷でしょ?しかもレンタル、絶対に手放したくないはずよ、そこから導き出すのに考えると救援に来るのはかなり手練れのボディーガードよ」
なんか奴隷は奴隷で色々あるんだな……
「後は今の看守をどうするか、だけど」
すぐそこで伸びきってる看守にアンナさんは目をやると少し考える。
「殺すにしても次の見張りが交代に来たらアウトね、出来れば起きたときに上手い言い訳を考えたいけど……うん、大丈夫ね、少し考えたけどこうなる看守の方が悪いわ、女の誘惑に負けるからこうなるのよ、自業自得ね、こいつから考えてみるとそんな恥ずかしい事他の人に言えないし」
そしてアンナ先輩は硬いベッドに座り余裕を見せる……か、かっけぇっす姉御!
「さて、と、時間もまだありそうだし、話してもらおうかしら、アオイ」
「話す?」
「あんたの事よ……奴隷商で育って魔法も使えないのは分かるけど、あのリュウトって子が知り合いだったとしたらそこの辻褄が合わないのよね」
すごい、そこまで分かってるのか……
「……」
アンナ先輩は病んでた俺をお世話してくれた恩人だ。
この先輩なら俺が勇者と言っても事の重大さも知っていて他の人に話したりしないだろう……
「僕は____」
俺はアンナ先輩に今までの事を全て話した。
勇者の事も含めて。
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