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恵
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午後になると、トラックヤードには、荷物が積まれたパレットが大量に並び、美花はリーチフォークに乗って入荷エリアに移動させていた。
週末というのもあり、大型トラックが、次から次へと出入りしている。
美花は、出荷する荷物にストレッチラップを巻き、入荷してきた荷物をリーチフォークに乗って移動させたり、と慌ただしく仕事を熟していた。
仕事が落ち着いてきた頃、所長の谷岡がトラックヤードに姿を見せる。
「浦野さん、ちょっと……」
谷岡が美花に向かって、手招きをしている。
「所長、お疲れさまです」
彼女が上司の元へ駆け寄り、軽く会釈をして見上げると、普段は人懐っこい表情を浮かべる谷岡が、珍しく神妙な表情を覗かせていた。
「そうだな…………場所を変えよう」
谷岡が周囲を見渡しながら、美花に言っているようにも、独りごちているようにも取れる口調で零すと、ファクトリーズカフェのある方向へ足を運ぶ。
「しょ……所長!?」
「…………」
美花が上司の背中に声を掛けると、谷岡は無言のまま歩みを進めている。
(なっ……何!? 私……何か…………やらかしちゃったのかなぁ?)
美花は不安を抱きつつ、谷岡の後を付いていった。
カフェのドアを開けると、お昼時の混み具合とは打って変わって、ガランとしている店内。
谷岡の恋人、相沢恵菜が出迎えてくれたけど、この時間に恋人が来店するとは思いもしなかったのか、恵菜は涼しげな目元を一瞬だけ見開かせた。
「お疲れさま。商談スペース、空いてるかな?」
「いらっしゃいませ。純さん、お疲れさまです。少々お待ち下さい」
谷岡の問い掛けに、恵菜が店内の隅に設置されている個室席を、確認しに向かった。
ファクトリーズカフェには、社外で商談や打ち合わせ等をできるように、数席ほど個室の席が設けられている。
ファクトリーズパーク立川に入居している企業の要望に応え、数ヶ月ほど前にできたものだ。
「全て空席になってますので、お好きな席をご利用下さい」
「恵菜、ありがとう。それからアイスコーヒーを二つで」
「かしこまりました」
戻ってきた恵菜に、谷岡は目を細めると、小声でドリンクの注文と礼を言い、一番隅の商談スペースに向かい、腰を下ろす。
「浦野さん。どうぞ座って」
「はい……。失礼……します」
美花が着席したのを確認した谷岡が、居住まいを正し、テーブルの上に両手を組んだ。