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「あなた、子どもが産めない身体なのよね」
「!!」
千夏の言葉に、美花は小さな唇を震わせながら愕然とした。
目の前の女性が、美花の事をそこまで知っているとは考えもせず、薄茶の瞳を見張らせる。
彼女の驚きとも絶望とも取れる表情に、勝ち誇ったように唇を吊り上げる千夏が、なおも美花に畳み掛けた。
「圭は、いずれハヤマの副社長に返り咲く男よ? 当然、跡取りも必要になる。そんな男が、子どもが産めない女を恋人にするなんて、何のメリットもないでしょ?」
「…………」
「圭は、あなたが子どもが産めない身体だっていう事、知っているの?」
「…………」
「…………あなたの様子を見てると、圭には、まだ言ってないみたいね」
美花は次第に瞳を伏せながらも、返す言葉がなかった。
自分はこの先、恋人と結婚するとなったら、愛する人の子どもを産めない。
分かり切っている事だけど、初対面の同性に、ここまで言われてしまい、美花は表情が崩れそうになりながらも、震え続けている唇を噛むしかなかった。
「ハッキリ言わせてもらうわ。私は圭の恋人だったの。もちろん、今でも彼の事が好き。全てにおいて、こんな最高な男はいないわ。それに私は、あなた以上に彼を幸せにする自信がある。もちろん……」
重苦しい雰囲気の中、千夏が真っ赤な唇を、ゆっくりと開いていく。
「彼の子どもを産み、ハヤマの跡取りにさせる事もできる」
千夏に上から見下ろされ、止めを刺すような眼差しを向けられている美花は、嵐が過ぎ去るのを待つように耐えるしかない。
「圭とこれから会うんだったら、あなたから『圭さんとは、これで会うのは最後です。さようなら』って、別れの言葉を言ってちょうだい」
なぜ、ここまで言われなきゃならないのか。
美花は、弾かれるように顔を上げて、目の前の女性に視線をぶつける。
「いっ…………嫌……ですっ……」
千夏も、美花が辿々しくも、ここまで言い切るとは思わなかったのか、瞳を僅かに丸くさせた後、ハアッと、あからさまに大きく息を吐き切った。
「往生際の悪い女……」
彼女から視線を外した千夏は、美花の手元に目線を這わせていった。
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恵