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多くの貴族がこの国にはいる。残念ながら大半の貴族が高潔さや誠実さとは無縁だ。アルヴィアンは数少ない高潔で誠実な家で、それがアルヴィアン夫妻、つまり俺の両親が死んだ理由である。俺は公式には全く王都の屋敷から出てこない人間だ。交渉や取引は全て使用人や代理人経由、それが表の顔だ。そのような表の顔は真実を隠すには最高に素晴らしいものである。そして真実、それは俺が追い求めるものである。アルヴィアン夫妻が殺されたのは知っている。過去100年で急速に進展したアルヴィアンの経済的繁栄に不満を持つ人間が多いことも理解している。レスター・アルヴィアン前侯爵、つまり俺の父親は高潔な人間だった。問題は高潔すぎたことかで、それが死を招いたのかもしれない。俺は最後のアルヴィアンだ。だからこそアルヴィアンの原点に戻る。
「アルヴィアンはこの国の貴族ではない、そう思いませんか?」
「ああ、そうだな。そもそもその国の出身ではない。隣国から逃れてきた負け犬だろ?」
噂話が聞こえてきた。彼らはグリズリーズ公爵家とアッシュフォード公爵家だ。この国における強硬的な保守派の貴族。昔よりは落ち目だが歴史や伝統では他の貴族を圧倒する。アルヴィアンのような歴史的には非主流派な貴族と正反対に位置する。日和見主義的な貴族もいるが、厄介なのはこのようなアルヴィアンの排除を裏では画策する貴族たちだ。