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「アッシュフォード、ところで部屋はどこだ?」
俺は『アッシュフォード』に対してそう貴族らしく口にする。
「ご案内いたしします。2階なので少し遠いのですがね。」
「角部屋?」
「その通りです。今のところ隣に入居者はいませんが、将来的には入居するかもしれません。その時は書面か口頭でお伝えいたします。どちらにいたしますか?」
「王都のアルヴィアン邸に書面で送ってもらえるか?そうだ、忘れるところだった。俺を案内し終わったら荷物を持ってきてもらえるか?」
「喜んで。そしてこちらが割り当てられた部屋です、アルヴィアン侯爵子息。」
「いい部屋だ、案内感謝する。荷物の方も持ってきてくれ。」
俺はそう言って部屋の中に入る。貴族らしい振る舞いが王都では求められる。しかし、アルヴィアンに戻ればこのような振る舞いはしなくて済む。アルヴィアン侯爵代理として、俺が最初に取り組んだことの1つが、公の場、つまり町中でのアルヴィアン家を含む上位貴族に対しての敬礼義務の廃止だ。もちろん反対する下位貴族もいたのだが、この通達に反対した下位貴族たちはひどい目にあったとだけは言っておこう。もっとも今でも、多くのアルヴィアンの住民は俺に敬礼をする。俺は愛されている。彼らのために俺が尽くしたと彼らは考えているから。でも実際は彼らなしには何も成し遂げられなかった。俺はそう思うのさ。俺は彼らに敬意を払う。それを馬鹿にする連中は誰だろうと許さない、例え国王陛下だろうが。
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