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はごろもまごころ

30 - 第2話:大統領の影

2025年09月18日

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第2話:大統領の影


配信の幕開け


「こんばんは〜、“はごろもまごころ”だよ!」


カメラの前でまひろは、クリーム色のトレーナーにジーンズのハーフパンツ姿。小さな腕時計をしているが、サイズが大きめで遊んでいるのが子どもらしい。瞳は真っ直ぐで無垢な光を放ち、言葉を選びながら話し出した。


「ねぇミウおねえちゃん……大統領って、本当に国民のために動いてるのかな。

この前の演説、なんか“お金”のことばっかりに聞こえちゃったんだ」


横にいるミウは、淡いラベンダー色のワンピースにベージュのニットカーディガン。髪をサイドでゆるく束ね、小さな花のブローチを胸に付けている。ふんわりと笑って、まひろの肩に手を置いた。


「え〜♡ お金が優先されちゃうと、国民は不安だよね。

だって私たちの毎日って、戦争ビジネスのためにあるんじゃないもん♡」


コメント欄には「わかる」「確かに最近そんな感じ」「守ってくれてるのかな?」と不安混じりの声が並ぶ。




Zの工作


暗い部屋。

**Z(ゼイド)**は灰色のキャップを深くかぶり、パーカーのフードをかぶった姿でPCの前に座っていた。

モニターには大統領の過去の演説映像が並び、AIソフトで切り貼りされていく。


「国防を守るために……」という発言の後に、別の映像から切り取った声が繋がれた。

「……武器を買い、売ることで経済を回す」


音声は違和感なく滑らかに繋がり、字幕も完璧に調整される。

Zは口元を吊り上げ、低くつぶやいた。

「国民のため、か……。今夜は“戦争ビジネス大統領”で炎上だ」




拡散と炎上


翌朝、SNSのタイムラインには「大統領、武器売買容認?」の文字が躍った。

動画は数百万回再生され、「#戦争ビジネス大統領」がトレンド入り。


「結局は軍需産業の犬」

「国民より武器を優先するのか」

「平和を壊すリーダーはいらない」


怒りの声は外交関係にまで飛び火し、同盟国の政治家が「懸念」を表明する。

市場は不安定になり、株価が乱高下した。




レイNewsの記事


その夜のレイNews:


「武器ビジネス大統領」演説疑惑──国際社会に衝撃


市民の声『命より武器を選んだ』


外交筋『信頼は揺らいだ』



記事は「疑惑」の形を取りながらも、巧妙に“既成事実”として広まる書き方だった。




無垢とふんわり同意


夜の配信。

まひろはクリーム色のトレーナーの袖をぎゅっと握りしめ、真剣な瞳で言った。

「ぼく……ただ“ほんとかな”って思っただけなのに、みんな怒っちゃった。

戦争のこと、こわいよ」


ミウはやわらかい笑みを浮かべ、花のブローチに触れながら語った。

「え〜♡ でも、怖いからこそ声をあげるんだよね。

国民が考えるきっかけになるって、大事なことだと思うよ♡」


コメント欄は「ほんとに考えなきゃ」「行動したい」「守るために声をあげる」――無垢な疑問が、怒りを正当化する空気を広げていった。




結末


暗い部屋のモニター前で、Zが笑った。

「よし……次は候補者を全部、地に落としてやる」


画面には、大統領選候補たちの顔写真と演説映像。

その一つ一つに「裏切り」「腐敗」というラベルが貼られ、編集用のタイムラインに並べられていた。





> 無垢な問いとふんわり同意、その裏で“戦争ビジネス大統領”の烙印は世界を揺るがし、次なる選挙混乱への布石となった。



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