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「なんでイザベラが俺たち兄弟に混ざってきてるんだよ。とにかく集められるとしてもその半分だ」
勝手にノルマを軽くする兄ルイス。
彼みたいな人間は歩合制で雇うのが良いだろう。
「18歳未満でも年ごまかして出席させるので、60人は集めてください。アカデミーの最上級生なら15歳とかですよね。すでにおっさんぽい子とか混ざってくる年頃です。老けて見える子をスカウトして来てください。アカデミーは人脈作りに通っているのですよね。ちゃんとアカデミーで作った人脈をここで活かしてください」
兄ルイスとルイ王子は王宮で仕事をしている他にも並行して家庭教師から教育を受けている。
加えてアカデミーにも通うのだから、兄ルイスが王族が忙しいと愚痴をこぼすのも頷ける。
「兄上、残りの半分は僕が集めます。イザベラ、パーティーをやるのであれば食事やお手伝いしてくれる方を集めた方が良いですよね。希望はございますか?」
やはり助け舟を出してきた最強サポータールイ王子。
そして、具体的にパーティーについても尋ねて来てくれる。
さすがはメインキャラクターだ、どう考えても次期国王の器。
もしかして、兄ルイスは馬車の事故か何かで途中退場するのかもしれない。
「食事というのは重要ではありません。私は前職で清掃している埃のたつ中、冷凍庫から出したてのご飯を食べたこともあります。でも、気になりませんでした。食中毒とか起こして訴訟になっても嫌なので食事はなしにします」
働いて半年でCAが夢の職業ではないことがわかった。
お嬢様は続けらない職業なのだ、埃を食べてお腹いっぱいになれる玉の輿を夢見る貧乏人だから私は続けられた。
「食事がないとなると、会費は出会いを得るチャンスに払うということですね。パーティーは何時ごろから開催する予定ですか?」
やはり、察しの良いルイ王子だ。
1円も10万円も変わらないと考えているような富裕層を相手にすれば、お付き合いで彼らにとっての小銭1万円くらいを会費として払ってくれるだろう。
ここのお金の単位はわからないが、そんなものだろう。
「パーティーは1日に4回開催します。初めてのことで慣れないでしょうが4回連続開催すれば慣れるはずです。その代わり手伝いに来る方の給与は多く出しましょう。60人程集めた人間を私が事前情報から4等分に振り分けます。やはり遊び目的や既婚者は、本気が混じっている人間とは分けた方が良いと思うのです」
青組のハードスケジュール1日4便飛んだ後に、まだ仕事に慣れないなどと言っている新人を見たことがない。
離着陸の体への負担もないのだから、4回連続のパーティーの給仕くらい楽勝だろう。
私は新卒の時、赤組と青組どちらの航空会社にも合格している。
美人ではないが高身長の雰囲気美人だからだろう。
勤務が緩く給与の安い赤組ではなく、勤務がキツく給与の良い青組を選んだ。
青組の賢いところは自社の方が給与が高いことを教えても、自社の方が勤務がキツイことは教えないところだ。
人が金に惹かれるということをよくわかっているのだ。
給与を多く出し、長時間拘束で仕事にいち早く慣れさせるしかない。
「ちなみにこのパーティーの目的は、現在の婚約関係や婚姻関係を悪化させ、破壊してパートナーを失わせることです。ワンナイトで捨てられた貴族令嬢や、婚約者の不貞行為を知った貴族令息は結婚相談所の顧客になります」
私はこのパーティーを開催する真の目的を話した。
「イザベラ、お前、別人だろ。流石に別人だよ、考え方が下衆過ぎておかしいぞ。ルイ、婚約破棄するように俺から国王陛下に言うから、こいつから離れた方が良いって」
私をひたすらに非難する使えない兄ルイス。
兄ルイスの言葉に、静かに首を振るルイ王子。
「誰よりも傷ついているんですイザベラは。僕は絶対にイザベラから離れません。僕が守るべきはイザベラの心だけです」
明らかに出会った時より愛を深めてそうなルイ王子。
私はアカデミーで彼が出会う男爵令嬢であろうヒロインは、かなりのダメ女だろうと確信した。
彼はダメ女が好きな男なのだ。
彼のような男と出会っていれば私が40歳手前で独身などという非常事態は起こらなかっただろう。
「それでは、1週間後パーティーを開催することを目的に各々自分の仕事に邁進しましょう。」
私はとりあえず、客も来ないのでこの場を閉じることとした。