‘ 蒔田 羽優 ’
懐かしい響きの名前がまた脳裏を過ぎる 。
「 先輩 、 ぼ ー っとしてないでさっさと仕事して下さいよ 」
隣でパソコンと向かい合い真面目に仕事をしている新卒の後輩に背中を叩かれる 。
「 痛 っ てぇ 」
苦し紛れに声を出す 。
「 御前と真逆の羽優は天使だ 」
「 誰ですか 、 私情挟まないで下さい 。 」
迷惑そうな顔に乾いた笑みを零し 、 面白味なんて微塵も無いパソコンの画面を見詰め直す 。
「 先輩25でしたっけ ?
徐々彼女の1人でも作って真面目に仕事したらどうですか 。 あ 、 良いマッチングアプリでも紹介しましょうか ? 」
歳下の癖して饒舌に俺の恋愛に口を挟んでくる後輩 。
「 俺ね 、 心に決めてる人が居んの 。 」
優しげな瞳が瞼の裏に焼き付いた儘 、
鮮やかに遺り消えない 。
「 嗚呼 、 其れが羽優さんですか 」
「 そ 。 まじで天使なんだからな ? 」
「 其れ以上惚気けるなら私が代わりに退職願出して来ますけど ? 」
もう逢えないのだろうか 。
連絡先も知らない癖に ‘ 逢いたい ’ だなんて馬鹿げた事しか頭に浮かばない 。
「 ねぇねぇ 、 俺仮にも先輩だよね ? 」
仮にも ‘ 元彼 ’ なんだけどな 。
夜景の中で黄色い花束が揺れていたのを想い出しては苦しくなる 。
否 、 辞めよう 。
自分の決断を悔いるなんて馬鹿だろう 。
そう言い聞かせて思考を遮る 。
「 先輩がこんなんで私も苦労人ですよね 」
「 御前の退職願なら出して来てやるけど 」
「 羽優さんはこんな先輩の事は嫌いでしょうね 」
「 御前 、 其れ以上俺の心臓抉るなよ 」
嗚呼 、 嫌いかもな 。
なんて言葉は空気が悪くならないように飲み込んだ 。
「 ま 、 今まで先輩が呟いた独り言とか話聞く限りでは嫌われてないと思いますけど 。 」
「 待って独り言って何 ? 怖い ! 」
「 羽優の笑顔って神々しいんだよなぁ 」
声を低くして下手くそに真似られる 。
「 俺の心臓抉られるから辞めろ 」
「 羽優って偶に超デレデレなの天使だと思うんだよなぁ 」
辞める事無く続けられる物真似に溜息を吐きながら後輩の言葉に少し期待した 。
コメント
11件
タイトルの漢字読めなくて調べた人(( 後輩ちゃんの弄り方好き笑笑 社真くんも可愛いい🤦🏻♀️ 別れちゃったのかぁぁっ、更に続き楽しみだ💭 物真似してるとこ想像出来てほんと可愛い💞
杜真くんかわいすぎる 後輩に惚気けるとかまっじかわ( 心に決めてるとかもう可愛い 後輩ちゃんと杜真くんの会話可愛くてノリすき() 別れた理由気になりすぎてる、予想は羽優ちゃんが切り出したんだろうなぁって思ってる( つまり何が言いたいかと言うと ‘ かわいい ’ です((