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#溺愛
桜咲かな
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皆さんこんにちは!!
芽花林檎です!!
今回も続きに参りたいと思います!
それでは、ご覧ください!
しばらくして。
近くのお店から、カラン、カラン、と音がした。
鐘の音。
閉店が近い合図だった。
少女が、そちらへ視線を向ける。
そして、また、空を見る。
群青は、さらに、深くなっていた。
「もう夜」
彼女は呟く。
「そうですね」
暖樹も空を見上げた。
暫く、二人は何も話さなかった。
だけれど。
不思議と気まずくはなくて。
風が吹く。
ランタンが揺れる。
市場の喧騒が少し遠くなる。
暖樹はふと思った。
この人のことを、何も知らない。
それなのに。
帰りたくないわけではない。
もっと話したいわけでもない。
ただ。
もう少しだけ。
同じ、群青の空を見ていたいと思った。
市場の明かりは、夜の色を濃くしていた。
群青だった空は少しずつ、漆黒に塗り替えられていく。
遠くの家々の窓に、小さな明かりが灯っている。
綺麗だ。
その、ひとつ、ひとつに、家庭があると思うと。
何故か、胸が、温かくなる。
暖樹はそう思った。
風が吹く。
冬の凍てつくような寒さが、頬を刺した。
彼女は、空から、視線を下ろした。
それだけで。
理由なんて、根拠なんて何もないけれど。
何故だか、暖樹にはわかった。
もう帰るのだと。
「寒くなってきましたね」
暖樹は言う。
彼女は小さく頷いた。
「寒い」
それだけ。
ただ、それだけだった。
けれど、不思議と、会話は終わらなかった。
二人は並んで市場を見る。
親子連れが通り過ぎる。
魚屋が店じまいを始める。
パン屋から、最後のお客さんが出てきた。
誰かの、一日が終わっていく。
市場の、喧騒が、遠のいていく。
そんな、光景を、見ていた。
彼女の視線が、ゆっくりと、市場を辿っていく。
その横顔を見て、暖樹は気が付いた。
この人は。
もの、を見ているわけではない。
雑貨屋にある綺麗な髪飾り。
市場の中央にあるテーブル。
椅子。
電飾。
違う。
人を見ている。
笑う人。
話す人。
手を繋ぐ人。
荷物を運ぶ人。
誰かと一緒に、いる人。
それらを、
まるで確かめるように見ている。
暖樹には理由が理解できなかった。
だからやはり訊かなかった。
彼女は、静かに歩き始めた。
市場の出口のほうへ。
暖樹も数歩遅れて歩き始める。
偶然。
ただ、同じ方向なだけだ。
それだけだった。
本当に。
出口の近くまで来たとき、
彼女は立ち止まる。
暖樹も足を止めた。
数秒の沈黙。
彼女は少し迷うように視線を落とした。
そして。
「………あの」
初めて向こうから呼び止められた。
暖樹は驚いて顔を上げる。
少女は相変わらず感情の少ない表情をしていた。
瞳の、静けさ。
変わらない。
けれど、少しだけ戸惑っているように見えた。
気のせい、かもしれないけれど。
「はい?」
彼女は、少しだけ間を置く。
言葉を、選んでいるようだった。
そして。
「この前」
暖樹は息を止める。
この前?
蝋燭のことだろうか。
そう思った。
でも。
彼女は、こう言った。
「硝子」
暖樹は一瞬判らなかった。
だがすぐ思い出す。
雑貨屋の店先。
夕暮れを静かに映し出した、硝子の装飾。
「ああ」
思わず笑った。
彼女は暖樹の表情を見て、少し安心したようだった。
ーほんの僅かに、頬が、緩んだのだ。
彼女は続けて言った。
「綺麗だと言っていたから」
そこで言葉が止まる。
暖樹は続きを待つ。
「あの色を、綺麗だと言っていたから」
「…….そう思ってくれる人がいて、良かった」
ーえ。
暖樹は言葉を失った。
不思議な、言葉だった。
自分のものではない。
あの、硝子の装飾は。
彼女が、自分、で作ったわけではない。
ただ、雑貨屋の店先で売られていた、硝子の、装飾なのに。
まるで、彼女の言葉は、大切な、何かを褒められた人の言葉に聞こえた。
気のせいなのかもしれない。
思い違いかもしれない。
でも。
その言葉には、生まれて初めて褒められたのかのような、響きがあった。
ー気にしすぎかもしれないけれど。
自分がそう思っているだけかもしれないけれど。
でも、本当に、そう思ってしまった。
少女は、それ以上何も言わない。
小さく、頭を下げる。
そして、今度こそ歩き出した。
黒髪が、夜風に揺れる。
暖樹はその後姿を見送った。
呼び止めよう、とは思わなかった。
名前を聞こうとも。
ただ、
胸の中に小さな温かさが残っていた。
そう思っていたのか、あの人は。
あの時、そんな風に。
彼女は、夜の闇の中に溶けていく。
振り返れば、市場には、まだ灯りが残っている。
暖樹はしばらくその場に立ち尽くした。
そして。
ふと思ってしまった。
今度、また会えたら。
少しだけ、
あの人の見ている世界が知りたい。
あの人の、ことを、もう少しだけ、知りたい。
そんなことを考えていた。
ー漆黒に染まり、そこに幾つもの星々が淡く輝く空の下で。
今回も読んでくださってありがとうございました!
下に長い余談がありますが、お付き合いくださると嬉しいです↓
余談:リクエスト大募集中!
こんなお話あったらいいなぁ、こんなお話読みたいなぁ、
そういったことがありましたら、コメント欄に書いてくだされば、できるだけご希望の
ストーリーを書かせていただきます!
絶賛大募集中です!
何かアイデアがありましたら、ぜひお書きください!!
(どんなジャンルでも構いません、チャット形式のものも書けます、すべてOKです、コメント欄に
お書きになってみてください。2日以内に必ず書きます!(できなかったら本当にごめんなさい))
あと、しつこいですが(いつも読んでくださっている方々ありがとうございます😊)、
フォロー、like、その他諸々お待ちしております!是非してくださると嬉しいです!
Xのリンクも貼付しておきますので、ぜひ、フォロワー1人目になってくださいませんか?
Link→ https://x.com/RingoMebana @RingoMebana
余談が長くなりました。
お願いばかりで申し訳ないですが、これからも読んでいただけると嬉しいです!
(自分の小説が稚拙なのにお付き合いくださって本当にありがとうございます!)
それでは、また次回のお話でお会いしましょう!
2026/08/04 芽花林檎
コメント
1件
第7話、読了したよ!…うーん、今回はストーリーの本編がまだなくて、作者さんのご挨拶とお知らせがメインだったんだね。次回から物語が動き出すのかな?リクエスト大募集中ってことで、何かアイデアが浮かんだらコメントしてみようかな。フォローやいいねはこのコメント機能ではできないけど、読者として応援してる気持ちはちゃんと伝わるようにコメントで書くね!次回の本編、楽しみにしてるよ🔥