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44話 何となく寄った市場
夕方。
4821スポット。
朝とは違う匂い。
リカは、
小柄で、
ランドセルが少し大きい。
靴先はすり減っている。
通路は、
朝より広く感じる。
朝は、
魚。
野菜。
水。
今は、
油。
焼き色。
甘い匂い。
店の人は、
腕が太く、
前掛けに染み。
声は低い。
「残りあるよ」
箱の端。
氷は溶けかけ。
隣。
友だちは、
丸い頬で、
髪を耳にかけている。
目が忙しい。
「朝より、
色が濃いね」
床。
水の跡。
靴裏が、
ぺた、と鳴る。
果物。
切り口。
赤い。
黄色い。
籠を持つ人。
背中が丸い。
買うものは少ない。
見るだけ。
それでも、
市場は動く。
奥。
布の屋根。
影が長い。
匂いが混ざる。
朝の市場と、
帰り道の市場。
同じ番号。
違う顔。
リカは、
ランドセルの紐を持ち直す。
帰る。
それだけ。
市場は、
まだ続く。
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由天。