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来世はくらげ
#ダークファンタジー
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「 壊れながらでも 。 」
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────喪失者。
それは、すべてを失い、壊れた果てに出る “残骸” 。
目の前の ソレ は、今までと違っていた
「……逃げろ」
俺はLaiaに言う
『…嫌だ。』
変わらずLaiaは即答だった。
「……」
喪失者がこちらを見た
その目は確かに“意思” があった。
「……まだ残っているのか。」
喪失者は震える声で言った
[…お前は……俺を殺しに来たのか……]
言葉。
喪失者は、喪失したはずの存在。
「……そうだ。」
『…違う!』
横からLaiaの声がする
『何かが違うんだ。こいつ。』
『……ソレ まだ人でしょ。』
喪失者の目が揺れた
[人じゃない……俺はもう……]
「……!」
そんな時、俺の片目がこいつの過去を表していた
この喪失者は元々、誰かを守る側の正義のヒーローだったんだ。
家族でも 恋人でも 仲間でもないけど、
“守るべき存在” がいたんだ。
【……守れなかったのは…俺が、弱いから…
ごめん…ごめんな…】
「うっ……」
『シキ…!』
こいつの過去が…胸に来るのは確かだ。
でもこいつは、喪失者になり何人もの人を殺した。
「……説教だ、喪失者。」
一瞬、空気が止まった。
喪失者の目が、わずかに揺れる
[……せっきょう…?]
掠れた声
その声はまだ “人間” だった。
「……お前は…弱かったから、喪ったんじゃない。」
自分でも驚くほど、こいつの前でいると言葉が出る
「喪ったから、弱くなったんだ。」
喪失者の指が震える。
[……同じだろう…!]
「違う。」
即答だった
「…弱さは“罪”ではない。失うことも“罪”ではない。」
喪失者の呼吸が乱れる
「……罪なのは、それを“終わり”にしたことだ。」
『……終わり……』
Laiaが小さく呟く
「お前はまだ、終わっていない。」
喪失者が顔を上げる
[……俺は…もう、守れない……]
「……守る必要はない。」
その言葉に、喪失者の目が大きく揺れた
「“守れなかったお前”の姿でもいい。
それでも、ここにいるなら」
一歩、踏み出す
「……まだ、終点には届いていない。」
静寂。
喪失者の体から、黒い歪みが少しづつ剥がれていく
[……俺は……まだ…]
言葉が途切れる
その代わりに、震える声が残った
[……許されるのか……?]
俺は少しだけ間を置いた。
「……許すのは俺ではない。
お前自身だ。」
その瞬間、喪失者の中の“何か”が崩れた
だが、今度は壊れる音ではなかった。
戻ろうとする音だった
沈黙が続いた
喪失者の中で、何かが揺れている。
[……俺は…]
言葉が途切れる
ソノ身体を覆っていた“歪み”が、少しずつ剥がれていく。
〈 もう……戻れないと思ってた…… ]
震える声
それは初めて、“喪失者”ではない声だった。
『…戻れないんじゃないよ。』
Laiaがぽつりと言った
『…まだ、決めれないだけ。』
喪失社の目が揺れる
〈決める……?]
「そうだ。」
俺は一歩、前へ出る
「お前は“終わった存在”ではない。
ただ、“終わり方を決められなかった存在” だ。」
喪失者の呼吸が止まる
〈俺は……何をすればいい…]
その問いは弱い。
でも、確かに “生きている”。
俺は少しだけ間を置いた
「来い。」
それだけだった
説明も、理由もない
ただの命令。
喪失者の目が見開かれる。
〈……俺が……お前についていく意味は……]
「…意味なんてない。」
即答だった
「…ただ、お前はまだ“終点”に触れていない。」
喪失者はゆっくりと膝を着いた
そして……
〈 ……なら……]
〈 ……行く… 〉
その言葉は、消えかけた声じゃなかった。
選んだ声だった。
その瞬間、喪失者を覆っていた“喪失”が完全に解ける
(…もう、戻ってくんなよ……)
ただし、“完全に消えた”訳ではない。
───背負ったまま、立ち上がった
『…名前。ないの?』
Laiaが軽く聞く
喪失者は少しだけ黙ってから、
〈もう一度…選ぶ…。〉
そう言った
その声は、確かに “人間” だった。
「……なら、お前の名前は…」
“ レン だ。 ”
〈……!〉
{ 758番、ここへ来い。
おい、反抗するな。}
レン は少し沈黙をしてから、こう答えた
〈嬉しい……あり、がとう…〉
『……!』
「……」
その時、
初めて見せた“笑顔”だった。
まだ不器用で、壊れかけの。
でも確かに、
“生きている顔”だった。