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第18話:二つの正義
灰色の霧がかかる都市境界区。
そこは国家の監視網が強く、立ち入る市民は少ない。
高層ビルの側面には巨大なホログラム広告が流れ、「未来は秩序に従う」と繰り返し映し出されていた。
その下を歩く人々は端末を確認しながら、今日の「修正された未来」に従って動いている。
クオンはその群衆を抜け、薄墨色の外套を翻しながら境界区の広場に辿り着いた。
灰色の瞳は冷静に見えたが、額の第三の眼は強い光を帯びていた。
「……来るはずだ。」
その言葉に応えるように、広場の中央に影が降り立つ。
国家管理職の制服を纏った男──ラディウス。
短く刈った白灰色の髪、緑の瞳は鋭く光り、冷徹な表情を崩さない。
背筋を伸ばし、濃墨のマントを翻して歩み寄る姿は、秩序そのものを象徴していた。
「クオン。お前は過去の同僚でありながら、秩序を乱す破壊者となった。」
低い声が広場に響く。
群衆は立ち止まり、囁き合う。
「国家管理職だ……!」
「追われてるのはあの男、クオンだろ?」
「破壊者と呼ばれてる奴だ。」
クオンは群衆の視線を無視し、静かに答えた。
「俺は破壊者じゃない。俺の正義は命を守ることだ。」
ラディウスは眉をわずかに動かし、第三の眼を輝かせる。
「命を救うことで秩序を壊す。それが正義か?
秩序なくして命は意味を持たない。」
二人の第三の眼が同時に強く光った。
空気が歪み、群衆が悲鳴を上げて逃げ惑う。
国家の監視ドローンが頭上を飛び、全てを記録していた。
「秩序の正義」と「命の正義」が真正面から衝突する瞬間。
クオンは灰色の瞳を細め、静かに構えた。
「秩序のために命を捨てさせるなら……俺は何度でも抗う。」
ラディウスは剣のような鋭さで言い放つ。
「ならば、同じトピオワンダーとして、ここで終わらせる。」
広場全体に緊張が走り、二人の力が激突した。
都市の秩序を象徴する光と、命を守ろうとする揺るぎない灰色の光。
その狭間で、市民はただ「どちらが正しいのか」を見極めようと固唾を呑んでいた。
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