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21 - 第19話:偽物の師匠

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2026年01月31日

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第19話:偽物の師匠


黄昏の市民区。

広場にはフォージャーが開いた展示会の看板が光っていた。

「未来を創る、新しい命のかたち」──鮮やかなホログラムが空に浮かび、市民たちの関心を集めていた。

屋台のように並べられた透明なカプセルの中には、奇妙な小動物や観賞用のトピオワンダーが並び、子どもたちは歓声を上げて指を差していた。


その中央に立つのは、豪奢な外套を纏ったフォージャーの男・ダリオ。

濃紫の外套には鉄鋼の装飾が施され、赤茶の瞳は自信に満ちている。

「秩序に縛られる必要はない。未来は造れるものだ!」

彼の声に、市民たちは拍手を送る。


そのとき。


壇上に、一人の人物が姿を現した。

長い緑のコート、黒髪を束ねた落ち着いた立ち姿。

第三の眼が淡く光り、灰色に近い瞳が群衆を見渡す。


「……師匠……?」

クオンは群衆の後方で立ち止まり、息を呑んだ。

その姿は、かつて自分に暗黒物質の揺らぎを見せてくれた“師匠”ライラと瓜二つだった。


だが何かが違う。

眼差しに宿るはずの静けさがなく、作られたような均整の取れすぎた表情。

声も、どこか機械的に整えられた調子だった。


「私はライラ。未来を導く存在。

秩序を超えて、命を創り出す正義を広めよう。」


群衆がざわつく。

「ライラ……? 記録に残る名だ!」

「本当に生きていたのか?」

「奇跡だ!」


ダリオは笑みを浮かべ、群衆に向けて言葉を重ねた。

「見よ! これこそ我らフォージャーの力だ。

かつて失われた人物をも再現できる!」


クオンの灰色の瞳が揺れる。

目の前にいるのは“師匠”そのものに見える。

だが内心の冷静さが告げていた──これは偽物。フォージャーによって造られた模造体にすぎない。


リサが隣で歯を食いしばった。

琥珀色の瞳が怒りに燃える。

「市民を騙してる……!」


だが群衆は熱狂していた。

「造られた命でも構わない、奇跡を目にできたんだ!」

「秩序なんて必要ない、未来は造れる!」


秩序を信じる国家、市民の熱狂を煽るフォージャー、そして偽物の師匠。

クオンの正義はまたしても揺さぶられる。


「……師匠。なぜ俺の前に、偽物として現れる……」


都市の空に、歪んだ光が差し込む。

本物の真実を知るクオンだけが、この欺瞞を打ち砕く責任を背負っていた。





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