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「人魚!?人魚ってあの!?」
アオイは思っている人魚とはかけ離れた外見の者達を見て驚いて
「アオイさん!今のは!?」
リュウトはアオイの技に驚愕する。
「。今のを防ぐか」
「おい!確かヌルスって言ったな!こいつらはお前が呼んだのか!」
「。馬鹿を言うな、人魚なぞあんな低種族我々のような高貴な種族が呼ぶわけないだろ」
「くそ!じゃぁ!最悪の状況ってことか!」
「ストレートだけどそうみたいだね」
アオイとリュウトは背中あわせになり戦闘体制に入る。
リュウトとヒロユキが【武器召喚】で出した武器は消えていてリュウトもかなりの魔力を消費している状況だ。
「。おい、俺を縛ってるこれを解け、加勢してやる」
「悪いけど、そんなことに騙されないよ、と言うか、こう言うときはあれかな「嘘つくならもっとマシな嘘をつきな」ってやつかな」
「。チッ!このままじゃ三人ともおじゃんだぞ!……んん!」
話してる途中でアオイの糸はヒロユキ(仮)をぐるぐる巻きにしてみのむしの様になる。
「アオイさん!さっきの防壁……あれの効果は?」
「飛んでくる魔法だけを無効化する壁!」
「つまり、近接には無力?」
「うん。でも、大丈夫。もう僕は――昔の僕じゃない」
アオイは一歩前に出ると、すっと拳を構えて静かに息を吐く。
その背には、風にそよぐ金の髪と、確かな“気迫”があった。
リュウトはそれをちらりと目にして、かすかに微笑む。
「――あぁ。後ろは任せたぞ、アオイ」
【守るべきお姫様】ではなく、今や【背中を預けられる相棒】として――アオイは戦場に立っていた。
「――行くぞ、人魚ども!!」
リュウトとアオイは同時に駆け出した。
その瞬間、ひゅん、と風を裂く音――
一人の半魚人が放った水の矢がリュウトを狙う。続けざまに他の者たちも弓を引き絞り、次々と矢を放ってきた。
だが。
「やらせないよ!」
リュウトに矢が届く前に、どこからともなく現れた【糸』が透明な円柱のような防壁を作り出す。
水の矢は、その円に触れた瞬間、まるで吸い込まれるように音もなく消えた。
「助かるよ!アオイ!」
半魚人の中に入り1人をレイピアで頭を突きしとめる。
「ゴ!ゴゴ!」
他の半魚人達は矢が効かないのを理解したのか低い大きな声を出しながら剣を構えてリュウトに一斉に迫り始める。
「何人でもかかってこい!」
リュウトはレイピアを構え、目前の半魚人たちを見据えた。
「――【プラスフィジカルアビリティ】!!」
叫んだ瞬間、地面を蹴る音が爆ぜる。
次の瞬間、リュウトの姿が消えた。
目にも止まらぬ速さで、彼は一直線に敵の群れへ突っ込んだ。
リュウトのレイピアが、一閃。
その刹那、半魚人の額に鋭く突き刺さり――そのまま意識を刈り取った。
「一人目……」
次の瞬間、もう一体の半魚人の側頭部へと鋭く突きが走る。躊躇も、無駄もない。
まるで“狩り”のように、冷静に、正確に。
突きが走るたび、ひとり、またひとりと、頭部を正確に貫かれた敵が崩れていく。
「二人、三人__
そのたびに、リュウトの動きに合わせて舞い散る砂、風、鮮やかに倒れ伏す敵の姿が、戦場に残像のように刻まれていく。
彼のレイピアは斬るのではなく、ただ“的確に仕留める”。
気づけば、彼の通った跡の地面には倒れた半魚人が並び、まるで道のようになっていた。
その姿は、まさに“無双”。
そしてもう一人の勇者――【アオイ』も、静かに動き出していた。
リュウトと同時に駆け出し、すぐさま一体の半魚人との距離を詰める。
そのまま低く構え、滑るように地を走り、しゃがんだ姿勢から跳ねるように踏み込み――
「はぁぁっ!【魂抜き】!」
手のひらをまっすぐ、顎へ。
鋭く、そして正確に打ち上げられた衝撃は、相手の意識を根元から断ち切った。
「ゴ……ッ……」
一瞬、金髪の光が視界を流れたと思った時にはもう遅い。
半魚人の目は虚ろに上を向き、そのまま音もなく崩れ落ちた。
アオイの動きはまるで舞。
一撃ごとに、身をひるがえし、重心を流し、次の敵へと滑るように移る。
一人、また一人。
その手のひらは、気絶を誘うだけの衝撃を的確に与え、誰一人殺すことなく、静かに無力化していく。
だが、敵も黙ってはいない。
「ゴゴゴ!」
後方から振るわれた剣――
「ゴッ!?」
その刹那、アオイの手が閃く。
白く細い指が、刃の腹をぴたりと受け止めた。
「残念だけど……“大勢から向けられる剣”には、少しだけトラウマがあるんだよね」
剣を奪い、拳で剣の腹を殴る――ぱきん、と心地よい音を立てて武器が砕けた。
龍牙道場奥義__【白刃取り】
そして、同じく龍牙道場奥義__【地割れ】この技は元々、地面の弱い所を見抜き魔力を流すことで相手の足を崩すと言う技だが【勇者】として覚醒したアオイは独自に改良し“物体を破壊する”技にしていた。
今のアオイには、どんな強固な物も弱点が見えていて破壊できる。
敵の武器を“無意味な存在”へと変える、美しき制圧術。
戦場に舞うその姿は、まるで踊る姫。
だがその一歩一歩が、確実に敵の戦意を奪っていた。
そして――
「……来たっ!」
アオイは跳んだ。
その細い体が軽やかに宙を舞い、さらに空中に魔力の足場を作る。
【空歩】――
一瞬だけ空に踏み込む、龍牙道場伝承の秘技。
高く高く舞い上がり、太陽を背に受ける位置まで到達すると――
眼下に広がる敵の群れを鋭く【視認】した。
「【目撃縛】!」
その声と共に、空中に浮かぶ魔法陣が次々と展開。
光の糸が空を裂いて降り注ぎ、半魚人たちに絡みついていく。
「ゴゴゴゴ!」
太い腕に、脚に、胴に――無数の糸が絡みつき、地面へと縫い留める。
もがく暇すら与えず、そのまま半数以上が完全に拘束された。
「っ……!」
残った一体が叫ぶ。それは合図だった。
「ゴアアア!」
次の瞬間、仲間の動きを見た半魚人たちは一斉に森の中へと撤退を始めた。
――退いたのだ。
「やったか?」
アオイが着地して呟やいたが焦って自分の口に手を当てた。
「やば!今のでフラグたっちゃった!?絶対出てくるやつじゃん!」
――だが、静寂は破られなかった。
その場に残ったのは、糸に絡まった半魚人と、砂煙。そして熱い陽射しだけ。
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