テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
昼休みの教室。隼人がいつものように大地の机に肘をついて、ニヤニヤ顔で言った。
「お前さ、ホントに漢字弱いよな。小テストまた五点て何だよ」
「えへへ、漢字ってさ、形が自由すぎるから芸術点でカバーしてほしいわ」
クラスがどっと笑う。
そのとき、背後からすっと影が落ちた。
「――その“芸術点”ってやつ、採点基準教えてくれない?」
振り向いた大地のすぐ後ろに、柊が立っていた。
いつのまに。
「っ、柊!? 近い近い!」
椅子ごと身を引く大地。
柊はおかまいなしに大地のノートを指でつつく。
「ここの漢字、俺でも読めない。お前、暗号作ってる?」
「暗号じゃない! 字がちょっと踊っただけ!」
隼人が眉をひそめて身を乗り出した。
「おい柊、近いって。俺がツッコミ役やってんだから邪魔すんな」
柊はさらりと笑い、さらに顔を寄せる。
「大地、隼人に任せてたらテスト壊滅だろ。俺が教えてやるよ」
大地は両手をブンブン振った。
「や、やめろって! 心臓に悪い!」
柊は肩をすくめて「じゃ、放課後」とウィンク。
教室の隅で萌絵がバシッと机を叩いた。
「近いっ、距離感ゼロっ! 今のカメラ欲しい!」
涼も無言で頷く。
「柊攻め、説が補強されたな」
「それな!」
隼人は二人をにらみつけながら、なおも柊へ。
「お前……わざとか?」
「さあ? 大地が可愛いからつい」
「か、かわっ……!?」
大地が赤面して絶叫する。
「オレの昼休み、平和どこいったーー!?」
教室は笑いと歓声に包まれ、
隼人と柊の視線がまた火花を散らした。