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父からグエンタール国の話を聞いて数日、私はサイラス殿下へ日取りを伺う手紙を出し、王城へ向かうことにした。
本日はその約束の日である。
朝から丁寧に身支度を整え、時刻に遅れないように馬車を走らせる。
生憎と晴天と呼ぶには空の青さが足りず、遠くには雨雲らしきものも見える。
降られないといいと思いながら、微かに急くような気持ちで車内を過ごす。
程なくして、王城の馬車寄せへと着いた。
踏み台が置かれ、扉が開く。と、出迎えたのは御者ではなく、ロス卿だった。
恭しくお辞儀をした彼が、体を起こす。
「ようこそお越しくださいました、グレイス様」
相変わらずの柔らかな微笑に、驚きを返す。
「まあ、ロス卿。わざわざあなたが迎えに来てくださったのですか?」
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