資料室のドアを開けると、先に部屋にいた人物が手を伸ばしたまま、私を振り返った。
目が合って、反射的に「あ」と声が出る。
「あら」
背伸びした水戸が、その華奢なヒールを床に着けた。
「お疲れ様、堂本さん」
抱えたファイルの上に、今抜き出したファイルを乗せた。
「水戸さん、お疲れ様」
後ろ手にドアを閉めて、私も部屋に足を踏み入れる。
「探し物なら手伝うけど……」
「ありがとう、大丈夫よ。大まかな場所は聞いてあるから」
「そう?」
慣れない出向先で資料を探すのは大変だろうと思い提案したが、問題はなさそうなので邪魔はしない。
私は自分の求める資料を探すために、棚の間に身体を滑り込ませた。
確かこの辺りだったはず、と指先で辿っている間に、ふと妙な気分になった。
思えば、水戸と資料室で二人きりになったのは、あの日以来。
|総一朗******************
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