コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
十一月に入ると、すっかり日も短くなり、朝晩は寒いくらいだ。
豪と正式に付き合い始めて約二ヶ月半。
週末は彼の自宅マンションで過ごす事が多くなった。
時々、奈美の自宅に泊まる時もあるけど、部屋も狭く、ベッドもシングルサイズ。
二人で寝ると、ものすごい窮屈になってしまう。
『週末は奈美が俺のマンションに来ればいいんだよ。何か問題でもあるのか?』
彼は、そう言ってくれるけど、申し訳ないな、と思う。
二人の付き合いは、順調に続いている。
彼が十一月の連休を利用して、お台場へ連れて行ってくれる事になった。
シティホテルのダブルルームを予約してくれて、すごく嬉しい。
奈美の中では、確約のない約束だったから。
午後一時に、西国分寺駅のロータリーで待っていると、クラクションが鳴り、白のSUV車が滑り込んできた。
「奈美」
「こんにちは、豪さん」
彼が運転席から降りてきて助手席のドアを開けてくれて、助手席に座るのを確認するとドアを閉めてくれる。
「さて、出発するか」
カーステには、しっとりとした洋楽のバラードが流れている。
豪がステアリングを掴み、シフトレバーをDモードにしてアクセルを踏むと、車は滑らかに走り出した。
高速に乗る前にコンビニへ立ち寄り、飲み物やお菓子を購入する。
豪はメンズのコーナーに寄って、小さい箱に入ったアレも買ったようだ。
高速はスムーズに流れている。
いつしか車は首都高に入ると、所々で渋滞に巻き込まれた。
それにしても、ステアリングを握っている彼もカッコいい。
(こんな素敵な人が私の彼だなんて…………)
奈美は、今でも信じられないくらいである。
「今日の服装も可愛いな。上着の中に着ているのはワンピースか?」
「ううん、今日は違うよ」
今日の服装はカジュアルめのセットアップ。
ネイビーのニットプルオーバーと白地にネイビーの花柄のロングフレアスカートに、オフホワイトのショートコートを羽織ってきた。
「奈美の服装はワンピースのイメージが強いから、珍しいな」
彼は奈美の服装を見て、いつも可愛いと言ってくれる。
セットアップにしたのも、コーディネートに迷わなくて済む、といったズボラな理由だ。